日本の労働時間が長い5つの理由|長時間労働と低い生産性の悪循環
「日本人は働きすぎだ」というイメージを持っていたり、実際の長時間労働に対して疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
日本の労働時間が長くなる背景には生産性の低さや業務量の多さなどがあり、長時間労働の改善のためにはこれらを解決する必要があるようです。
本記事では、日本の労働時間がなぜ長いのか?という疑問から、世界各国との労働時間の比較や長時間労働を改善するための解決方法について解説します。
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日本の労働時間はおかしい?世界各国と労働時間の比較
それでは、本当に私たち日本人は働きすぎなのでしょうか?
日本の労働時間が本当に長いのかを確認するためには、世界各国との比較が必要です。
本項目では、統計データ等から日本の労働時間が多いのかを分析します。
年間労働時間ランキングは日本が27位?
順位 |
国名 |
単位:時間(h)/年 |
1 |
2,405 |
|
2 |
2,226 |
|
3 |
2,149 |
|
4 |
1,963 |
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5 |
1,901 |
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6 |
1,892 |
|
7 |
1,886 |
|
8 |
1,882 |
|
9 |
1,874 |
|
10 |
1,837 |
|
11 |
1,815 |
|
12 |
1,811 |
|
13 |
1,810 |
|
14 |
1,808 |
|
15 |
1,770 |
|
16 |
1,754 |
|
17 |
1,748 |
|
18 |
1,732 |
|
19 |
1,707 |
|
20 |
1,700 |
|
21 |
1,694 |
|
22 |
1,686 |
|
23 |
1,657 |
|
24 |
1,644 |
|
25 |
1,635 |
|
26 |
1,624 |
|
27 |
1,622 |
|
28 |
1,619 |
|
29 |
1,619 |
|
30 |
1,607 |
ECDにおける世界主要国の年間労働時間ランキングでは、2022年時点でコロンビアが2,405時間で1位となっているのに対し、日本は1,607時間と30位の結果です。
この順位だけを見ると、日本の労働時間はそれほど多く感じないかもしれません。
しかし、あくまでもこのランキングは全雇用者の平均労働時間です。
正社員などのフルタイム勤務者の労働時間も確認してみる必要がありそうですね。
参考:世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD) - GLOBAL NOTE
平均労働時間の減少はパートタイム労働者の増加が原因?
一方で、日本経済団体連合会が行った調査では、パートタイム労働者などを除く一般労働者の年間平均労働時間は2,000時間となっています。
この結果をOECDの順位に当てはめると、日本の労働時間は世界3位になります。
このような大きな差が現れる原因は、パートタイム労働者の増加です。
厚生労働省の資料では、平成8年から全体の平均労働時間が減少しているという調査結果が出ていますが、その原因はパートタイム労働者の比率が増加傾向にあることです。
つまり、労働時間が短くなっていることを示しているわけではありません。
ちなみに、2020年のパートタイム労働者の割合は、1位のメキシコが約27.1%、日本は約37.5%と日本のほうが高めです。
これらのことからも、実際に日本の労働時間は長いと言えるのではないでしょうか。
日本の労働時間はなぜ長いのか?5つの理由
世界各国との比較を通しても、日本の労働時間はやはり長いということがわかりました。
本項目では、日本の労働時間がなぜ長いのか、その原因について以下の5つの視点から解説していきます。
1.生産性が低い
2.業務量が多い
3.人員不足
4.進捗管理が上手くできていない
5.無駄なミーティング
それぞれの原因について確認していきましょう。
1. 生産性が低いため
日本の労働時間が長い理由のひとつに、生産性が低く業務効率が悪いという点が挙げられます。
実際に、公益財団法人日本生産性本部の分析結果では、2021年の日本の一人あたり労働生産性は約818万円となっています。 この結果は、OECD加盟38カ国の中でも29位と下位です。
生産性が低い、業務効率が悪いということは、長く働かなければ成果を出せないということです。
そして、長時間労働によって休息時間も減少すれば、心身に不調をきたしさらに生産性が落ちるという悪循環に陥る可能性もあります。
生産性が低くなる背景には、社会のデジタル化が進み仕事のスピード感が上がっているのにもかかわらずアナログ管理を続けているケースなどが見られます。
2. 業務量の多さ
従業員一人あたりの業務量が多くなると、どうしても労働時間が増えてしまいがちです。
人員不足なども相まって、業務量が増えているというケースもあります。
本来システム等を導入すれば不要になる雑用なども、従業員の負担になっているかもしれません。
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3. 人手不足
厚生労働省の令和3年労働経済動向調査によると、「建設業」「医療、福祉」、「運輸業、郵便業」、「情報通信業」での人手不足感が強く、調査した産業計は平成23年8月から41期連続して人手不足という結果でした。
また、パートタイム労働者は「サービス業」、「宿泊業」、「飲食サービス業」、「卸売業、小売業」などで特に不足しており、調査した産業計は、平成21年11月から48期連続して人手不足となっています。
また、同省が今年2月28日に2022年の出生数(外国人含む)が79万9728人であったと発表しました。
1899年以降初めて80万人を下回り、少子化が進んでいることを改めて認識させられたのではないでしょうか。
何か手を打たない限り、今後ますます人手不足感が高まるばかりのようです。
4. 進捗管理がうまくできていない
進捗管理やマネジメントがうまくできていない場合、納期に合わせたタスク振り分けができずに長時間労働せざるを得なくなってしまうケースがあります。
進捗管理がうまくできない原因のひとつには、タスクが見える化されていないという点が挙げられます。
チーム内や部下のタスクがどのような状態か確認できないと管理もうまくできないですよね。
5. 無駄な会議・ミーティング
会議やミーティングが無駄に多いと、その時間は自分の業務に取り組めません。
さらに、オンラインではなくリアルで会議を行う場合は、移動時間なども必要です。
結果としてどんどん時間がなくなり、残業が増えてしまいます。
このように、労働時間は無駄な会議やミーティングによっても増えています。
長時間労働を続けると どうなる?3つの影響
長時間労働が続くと、どうなるのか?
ここでは、3つの影響を例としてご紹介いたします。
1. 過労死
2. 生産性のさらなる低下
3. 離職率の増加
1. 過労死
長時間労働の代表的な危険性として過労死があります。
異常な時間外労働は、労働者が気づかないうちにも過労死のリスクを高めるため注意が必要です。
厚生労働省は、「過労死ライン」として以下の状況に近づくにつれ健康障害のリスクが高まるとしています。
時間外または休日労働時間が月100時間を超える
2〜6ヶ月平均で月80時間を超える
また、過労死ラインは2〜6ヶ月で80時間とされており、これを超えていると労働者が心身の異常を訴えたり、亡くなってしまった場合に、長時間労働と健康障害の因果関係が認められやすい(過労死と認定されやすい)ということのようです。
また、働き方改革の一環として時間外労働の上限が2020年4月より全ての企業に適用されています。
しかし、時間外労働は年720時間以内、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内と「過労死ライン」とほぼ変わらない上限の設定(以上か未満かの違い)であることからあまり期待できそうにありません。
2. 生産性のさらなる低下
長時間労働により、生産性が低下してしまうおそれもあります。
労働時間が多くなると、それに比例して休息時間が取れなくなってしまいますよね。
それにより心身が疲弊し、業務効率が落ちてしまうケースもあるでしょう。
また、長時間労働によってスキルアップの時間が取れないと、今後の生産性の向上が見込めないとも考えられます。
一方で、国際的にみて一人当たりの労働時間が短い国ほど一人当たりの労働生産性も高いというデータがあります。
例えば、ドイツはOECD諸国の中で最も労働時間が短い(2015年1,300時間)にも関わらず、日本の労働生産性水準を50%近く上回っています。
3. 離職率の増加
長時間労働が常態化している場合、離職率が増加するおそれもあります。
労働環境が改善されないと感じた従業員は、転職してしまうかもしれません。
昔は終身雇用が一般的でしたが、転職が普通になってきた現在、企業は労働者にここで働き続けたいと思わせる努力が今まで以上に求められています。
離職率が増加してしまうと人手不足にも陥りやすく、スキルを持った人材も減少してしまいます。
結果として、さらに一人あたりの労働時間が増えてしまうという悪循環が発生してしまう可能性もあります。
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働き方改革の長時間労働の是正につながる規定
2019年4月に大企業から順次施行された働き方改革関連法ですが、中小企業には猶予期間が設けられており2023年4月1日にようやく全ての規定が施行されました。
ここでは、日本の長時間労働の是正につながるとされる労働時間法制の見直しについて関連規定をご紹介いたします。
詳しくは、「中小企業における働き方改革の取り組み事例と働き方改革の背景」をご覧ください。
1. 36協定の時間外労働の上限規制
働き方改革以前は、法定労働時間が1日8時間の週40時間、時間外労働は月45時間の年360時間と定められていました。
しかし時間外労働が法定時間を超えた場合でも行政指導のみで実質は年間6ヶ月まで時間外労働の上限規制がありませんでした。
2019年に改正された労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)では、時間外労働の上限規制が月45時間の年360時間と定められています。
さらに、臨時な特別な事情がある場合にのみ例外の上限である月100時間未満年720時間の時間外労働が認められています。
この上限に違反した場合は、労働基準法第百十九条で定められるとおり、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」を課せられる可能性があるため注意しましょう。
2. 勤務間インターバル制度
1日の勤務終了後、翌日の始業時間までに一定時間以上の休息時間を設けることを推奨する制度が勤務間インターバル制度です。
厚生労働省は、9時間以上の勤務間インターバルの確保を促しています。
しかし、EUと比べてみるとEU加盟国のEU working time directiveの2章で11時間の継続した勤務間インターバルが義務付けられています。
一方、日本の勤務間インターバルは9時間と少ない上努力義務であるため世界と比べてまだ遅れているようです。
3. 年5日年次有給休暇の消化義務
年5日の年次有給休暇の取得が義務付けられてから2年、コロナ禍で有給が取得しやすくなったという要因が伴った結果か、エクスペディアが行った有給休暇国際比較2021によると日本の有給取得率は6年ぶりに改善されました。
法改正以前は、労働者が雇用主に有給の取得を申請する必要がありましたが、改正後は雇用主が労働者の希望を自ら聞くことが義務付けられました。
4. 中小企業の残業代割増率50%
法改正以前は、中小企業に限っては残業の割増賃金率が25%でした。
2023年4月以降から月60時間を超える時間外労働の割増率が50%に引き上げられました。
5. 高度プロフェッショナル制度
この制度の目的は、高度専門職の人材が柔軟な働き方の選択肢を用意することです。
制度の特徴は、対象者(年収が「1075万円」を上回る高度専門職に従事する労働者でかつ本人が希望する場合)は、通常の労働者に適用される36協定や時間外・休日・深夜の割増賃金が適用されないという点です。
時間外労働の規定や割増賃金が適用されない代わりに、年104日以上かつ4週4日以上の休日確保するなどの健康確保措置を整備する必要があります。
高度プロフェッショナル人材は、この制度を活用することで労働時間に関する規定の清算期間にかかわらず自分で労働時間を調節することができるため柔軟な働き方が可能になります。
労働時間を削減するための解決方法3つ
長時間労働にはリスクがあるということがわかりました。
それでは、どのようにすれば労働時間を削減できるのでしょうか?
本項目では、労働時間を削減するための以下の3つの解決方法について解説します。
1. DXで業務の効率化を
2. 評価制度を見直す
3. 勤務制度を見直す
1. DXで業務の効率化を
労働時間を削減するためには、DXで業務を効率化していく必要があります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、IoTなどのデジタル技術を用いた変革のことです。
従来のアナログによる作業をデジタルに置き換えることで、データの共有が容易になったり、進捗管理がしやすくなったりします。
たとえば、タスク管理ツールなどを利用して部下の進捗を確認したり、勤怠管理システムツールを導入して明確に労働時間を把握したりするだけでも業務改善に繋がるでしょう。
また、事務作業や郵便物の管理作業などをツールやサービスに任せて業務負担を軽減することでも長時間労働を改善することができます。
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2. 評価制度を見直す
長時間労働を改善するには、評価制度の見直しも有効です。
評価制度が明確になっていないと、残業して一生懸命働いているように見せないと評価されないと感じる従業員もいるでしょう。
基準を明確にし、成果物や業務日報などから評価を行うようにすることで、無駄な残業を減らせる可能性があります。
3. 勤務制度を見直す
長時間労働を改善するために、勤務制度を見直すのもよいでしょう。
フレックスタイム制度やテレワークを取り入れ、従業員のスタイルに合わせた働き方ができるようにすることで、それぞれの実力を発揮しやすくなるケースもあります。
また、これらの勤務制度を取り入れている企業は求職者からも魅力的に感じられるため、結果として優秀な人材が集まることも期待できるでしょう。
まとめ:業務効率化や制度の見直しで労働時間を削減
日本の年間労働時間は2,000時間と世界主要国の中でも多く、改善が望まれます。
その原因としては業務量の多さなどがあり、これらはアナログ作業をデジタル化することでも改善可能です。
それらと合わせて、評価制度や勤務制度を見直すことで労働時間を削減していきましょう。
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