納税管理人とは?届出を忘れたらどうなる?申告方法や選任の注意点も
「納税管理人とは?」
「納税管理人を申告する手順は?」
「届出を忘れるとどうなる?」
この記事は、上のような納税に関する悩みをお持ちの方に向けて書かれています。
本記事では納税管理人について解説するとともに、納税管理人の申告方法や選任時の注意点なども解説します。
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納税管理人とは本人の代わりに納税等の手続きを行う人
納税管理人とは、海外に出国し日本に住所を持たない納税者本人の代わりに、納税等のさまざまな手続きを行う人です。
納税者に指定された納税管理人は、以下のような作業や手続きを行います。
納税者に代わり納税する
確定申告書の作成や提出
納税通知書など各種書類を受け取る
還付金などを納税者に代わって受け取る
このように、納税管理人とは、海外にいて各種手続きが行えない本人の代理としてさまざまな作業を行う役割を担う人です。
納税管理人が必要な場合の例
では、どういったケースで納税管理人を選ばなければいけないのでしょうか。
納税管理人が必要な人の例は、以下のとおりです。
海外在住で、1月1日時点に日本に住所があった場合(住民税などの納税義務)
海外在住で、日本に納めなければならない相続税などがある場合
海外出国までに日本の所得税を納めていない、確定申告が行われていない場合
海外在住で、日本での不動産による収益がある場合
海外在住で、株式を売却した場合
海外在住だが、日本にオフィスがありそこから所得が発生している場合など(国内源泉所得) など
このように、海外在住でも日本に住民税や固定資産税など何かしらの税の納税義務がある場合、納税管理人の指定と申し出が必要になります。
納税管理人は日本在住であれば家族でもなれる
納税管理人を誰かに頼まなければいけないけれど、専門的な知識がある人を選ばないといけないのか?条件はどのようなものなの?と、気になりますよね。
実際には、ほとんどの場合、家族などであっても納税管理人になることができます。
納税管理人になるための条件は、以下です。
法人でも個人でもよい
日本在住である
つまり、日本に住所を持つ人であれば、専門的な知識がない人でも納税管理人に選べるというわけですね。
納税管理人を選任する際の注意点
納税管理人の条件は厳しいものではありませんが、選ぶ上では以下のような注意点があります。
納税管理人が納税しないと納税者本人にペナルティが課せられる
確定申告書の作成は税理士でないとしてはいけない
以下の項目で解説する注意点を把握した上で納税管理人の選任を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
納税管理人が納税しないと納税者本人にペナルティが課せられる
納税義務は納税者にあるため、たとえ延滞などがあっても納税管理人が責任を問われるわけではありません。
ただし、これは納税管理人がきちんと納税をしなかった場合でもペナルティは納税義務者本人に課せられてしまうということです。
家族なので気軽に頼めるからと選んでしまうと、思わぬトラブルが起きてしまう可能性も考えられます。納税管理人には、できるだけ信用できる人を選びましょう。
確定申告書の作成ができるのは税理士のみ
納税管理人に任せられる作業のうち、一部については限られた資格を持った人でないとお願いできません。確定申告書を作れるのは、税理士資格がある人のみです。
確定申告書を作るというのは税理士の独占業務のため、納税者本人以外の税理士資格のない人では法律違反になってしまう可能性があります。
そのため、資格のない家族などを納税管理人に選ぶのであれば、確定申告書は自分で作成することになります。
つまり、納税管理人に確定申告書を作るところから一括でお願いしたい場合は、税理士資格を持った人を選ぶ必要があるのですね。
納税管理人の届出をしない・忘れるとどうなる?
納税管理人の申し出をしなければならない人が申請を行わなかった場合、公示送達が行われます。
公示送達とは、役所に通達を一定期間公示することで書類が送達されたとする制度です。
なぜそのようなことをするかというと、該当する人は海外に出ており日本の住所を持っていないので、納税通知書を送達することができないためです。
公示送達が行われても期限までに納付がない場合は、督促状が発送されるうえ、延滞金を加算されることがあります。
また、令和4年より、納税管理人の申請が行われていない場合は納税管理人を選んだ上で届け出るよう書面で求め、それでも届出書が提出されなかったときには納税管理人を指定することができるように、納税管理人制度が変わりました。
参考:特定納税管理人制度の概要
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納税管理人の届出手続きの方法
(出典:税務署の所在地などを知りたい方)
所得税・消費税の納税管理人の申請を行う場合は、以下のどちらかの方法で所得税・消費税の納税管理人の届出書を提出します。
インターネット(e-Tax)
納税地を所轄する税務署
また、納税者本人が日本の不動産から収益を得ている場合は、その不動産が存在する管轄税務署に申請書を提出する必要があります。
税務署の所在地は、国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」より確認できます。
インターネット(e-Tax)で納税管理人を申告する手順
納税管理人はインターネットで申告することもできます。
インターネットで申告する場合は、e-Taxを利用します。
【e-Taxで納税管理人を申告する手順】
e-Taxにアクセスします。
e-Taxソフトで所得税・消費税の納税管理人の届出書を作成し、提出します。
納税地を所轄する税務署で納税管理人を申告する手順
納税管理人の手続き方法として、納税地を所轄する税務署に直接提出するという方法もあります。
税務署に提出可能な時間は開庁時間である8時30分〜17時です。 土曜・日曜・祝日等の閉庁日を除いて提出することができます。
その他にも、送付するか税務署に設置されている時間外収受箱への提出も可能です。
【納税管理人を税務署で申告する手順】
所得税・消費税の納税管理人の届出書をインターネットまたは役所にて取得し、必要事項を記載します。
納税地を所轄する税務署に提出します。
所得税・消費税の納税管理人届出書の記載事項
所得税・消費税の納税管理人届出書の記載事項は、以下のとおりです。
ただし、税務署や役所で届出書を入手し提出する場合、場所により様式が異なる可能性があります。
また、書類の文言は届け出る税目によって、「所得税」「消費税」等の不要な方を抹消して使います。
納税者本人の情報
納税地
上記以外の住所地・事業所等
氏名
生年月日
個人番号
職業
屋号
納税管理人に定める人の情報
住所
氏名
職業
本人との続柄
電話番号
その他
法の施行地外における住所又は居所となるべき場所 こちらは、国外の住所・居所を記載します。
納税管理人を定めた理由 こちらの欄には「海外勤務のため」など、そのまま書くとよいでしょう。
出国予定日
帰国予定日
国内で生じる所得内容
その他
納税管理人がいる場合の確定申告のやり方
納税管理人がいる場合、確定申告書は納税者本人の納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。
納税管理人に指定した人が税理士資格を持っている場合は、確定申告書を作るところから提出してもらうまでを一括してお願いすることができます。
一方、納税管理人をお願いした人が税理士資格を持たない場合は、期限までに自分で確定申告書を作った上で、納税管理人に渡して提出してもらわなければなりません。とくにそういった資格を持っていない人に管理をお願いしても、確定申告書類を作ってもらうことはできないため、注意しましょう。
海外で働くノマドワーカーの方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
海外ノマドの確定申告をわかりやすく解説!脱税を防ぐためのポイントとは | MailMate
納税管理人になれる人がいない場合
家族などもおらず、納税管理人を依頼できる人がいないという場合、手続きのためにいちいち帰国するというのは現実的ではありません。
このような場合は、納税管理人を税理士にお願いするのが現実的です。
理由としては、税理士であれば確定申告書の作成もできるためです。
このように、周囲に納税管理人を頼める人がいないという場合は、税理士資格を持つプロに依頼するのがよいでしょう。
納税管理人を解任する場合
納税管理人を解任する場合には、所得税・消費税の納税管理人の解任届出書を作成し、提出先へ提出しましょう。
提出方法は、納税管理人の申し出を行う際と同様に、
インターネット(e-Tax)
税務署への提出または送付
です。
所得税・消費税の納税管理人の解任届出書の記載事項
所得税・消費税の納税管理人の解任届出書の記載事項は、以下のとおりです。
納税者本人の情報
納税地
上記以外の住所地・事業所等
氏名
生年月日
個人番号
職業
屋号
解任した納税管理人の情報
解任日
住所・居所
氏名
納税者の納税地
現在の納税地
選任していた時の納税地
その他
納税管理人を解任した理由
その他参考事項
国税に関する相談や問い合わせは国税庁へ
ここまで、納税管理人について解説してきましたが、納税や納税管理人などで困った場合や、自分の状況に合った明確な回答が欲しい場合、国税庁へ問い合わせするのがおすすめです。
国税庁の国税に関するご相談についてページでは、チャットボットやタックスアンサーでの相談、電話相談などができます。
国税庁の職員が対応してくれる電話相談センターの専用ダイヤルの情報は以下のとおりです。
電話番号:0570-00-5901
受付時間:8時30分~17時00分
土日祝日及び12月29日~1月3日を除く
通話料金:全国一律
税金に関する問題は、置かれた状況によっても答えが異なることがあり、迷ってしまうケースも多いですよね。
そのような場合は、一度こういった専門機関に問い合わせることで、疑問に対するより正しい回答を得られます。
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