海外転出届を出さないとどうなる?メリットやデメリットを解説
「海外赴任が決まったけれど、海外転出届を出さないとどうなるの?」
「海外転出届を提出すると何が変わるのか知りたい」
「半年間だけ海外に住む予定だが、海外転出届を出すべきかどうか迷っている」
この記事では、こんな疑問や悩みにお答えしていきます。
日本国内で引越しをする場合、転居届や転出届を提出する義務があります。一方で海外転出の場合には、転出届の提出が義務づけられているわけではありません。また国内向けの転出届と違って、海外転出届の提出にはさまざまなメリット・デメリットが生じます。
そこで本記事では、海外転出届を出すメリット・出さないメリットをご紹介します。海外転出の予定がある人は、ぜひ参考にしてください。
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海外転出届とは
海外転出届とは、居住地を日本国内から海外へ移す際に提出する書類です。海外転出届といっても、書類自体は国内向けの転出届や住民異動届と同じ。転出先の住所欄に国名を書いて提出します。
1年以上海外に滞在予定の人は、必ず市区町村宛に海外転出届を提出しなければなりません。海外転出届を提出することで国内での住民登録がなくなり、「非居住者」という扱いになります。
一方、滞在期間が1年未満の人であれば、海外転出届の提出は任意です。渡航期間や提出するメリット・デメリットを考慮して、届出をするか否か判断しましょう。
海外転出届の提出方法
海外転出届は、住んでいる市区町村の役所で提出します。なかには郵送で提出できる自治体もありますが、窓口での手続きが一般的です。
出国日の14日前から手続きができるため、余裕を持って来庁してください。必要な持ち物は、次のとおりです。
本人確認書類
転出者のマイナンバーカード
(自治体によっては)印鑑
どうしても本人が手続きできない場合は、同一世帯に住む人が手続きすることも可能です。その場合は、代理人の本人確認書類を持参しましょう。
ただし別世帯に住む代理人が手続きをする場合は、必要な持ち物が異なります。あらかじめ各自治体に確認しておいてくださいね。
海外転出届を出さないとどうなる?出さないメリットと注意点は?
海外移住期間が1年未満であれば、海外転出届の提出は任意となっています。海外転出届を出した場合は住民基本台帳から登録が抹消されるため、日本に住民票を残しておきたいなら転出届を出さないほうがよいでしょう。
ただし海外転出届を出さなかった場合、メリットもあれば注意点もあります。ここでは詳しく解説していきます。
1)住民票が取得できる
海外転出届を出して住民票が除票されれば、住民票は取得できなくなります。住民票を取得できないと困る場面には、たとえば以下があります。
賃貸物件の契約時
不動産の購入時
公的サービスの利用時 など
賃貸にせよ購入にせよ、不動産契約の際には住民票の提出が求められます。そのため住民票がとれない状態では、新たに物件を契約することができません。
公的サービスも、基本的に地域住民向けのサービスです。つまり非居住者は、サービスの対象外となってしまいます。
一方で海外転出届を出していなければ、これまでどおり住民票の取得が可能です。これは不動産契約や公的サービスの利用を考えている人にとって、大きなメリットといえるでしょう。
2)銀行口座やクレジットカードを維持できる
日本に住民票がない人は、銀行口座やクレジットカードの新規契約も難しくなります。他の本人確認書類で代用できる場合もありますが、そもそも海外転出すると既存の口座すら維持できない可能性があるため注意が必要です。
口座が使えなくなれば、当然そこに紐づいたクレジットカードも使えなくなります。銀行によって対応が異なる部分なので、あらかじめ銀行やクレジットカード会社に確認しておかねばなりません。手間がかかりますし、クレジットカードが使えなくなると困ることも多いでしょう。
海外転出届を出さないのであれば、これまでどおり口座やクレジットカードを維持できます。これもメリットの1つとして挙げられますね。
3)国民健康保険が使える
国民健康保険は、市区町村に住む人向けの保険です。そのため非居住者は国民健康保険の対象外ですが、海外転出届を出さなければこれまでどおり国民健康保険に加入できます。
国民健康保険に加入していれば、海外でケガや病気の治療を受けた場合に医療費の還付が受けられます。請求期限は2年間で、その間に帰国して申請すれば問題ありません。ただしいくつか条件があるため、その条件を満たしているか確認してから申請してください。
一方で海外転出届を出すと、国民健康保険の対象外になってしまいます。保険に加入していなければ、高額な医療費を自分で支払うことになるので、医療機関を受診するハードルが高くなるでしょう。
被用者保険は海外転出後も継続加入できることが多い
会社員や公務員は、事業所単位で被用者保険に加入しています。こちらは国民健康保険と違って、海外転出後も雇用関係が続く場合は継続加入が可能です。事前に事業所と確認しておくと安心ですね。
海外転出届を出さない場合の注意点
海外転出届を出さない場合の注意点は、大きく3つ挙げられます。1つめは、毎年住民税が課税される点。たとえ海外に住んでいても、日本に住民登録がある限り、住民税を払い続けなければなりません。
同様に、国民年金の加入義務も継続します。国民年金は支払いをしないと「未納期間」としてカウントされ、将来の年金受取額が減る要因となってしまいます。海外転出届を出さない場合は、国民年金保険料の支払いも続けましょう。
そして海外移住期間が1年以上になる場合は、海外転出届を「出さない」という選択肢はありません。実例は多くないものの、提出しないままでいると5万円以下の過料対象となる場合があります。忘れずに提出してください。
海外転出届を出すことで経済的なメリットが得られる
海外転出届を出すことで住民票が除票となり、日本の非居住者となります。それゆえ不便な面もある一方で、経済的にはメリットと感じられる部分もあります。高い税金や保険料の支払い義務がなくなるため、手取り額が増える人もいるかもしれません。
ここでは海外転出届を出すメリットを、3点ご紹介します。
1)住民税がかからない
住民税は、毎年1月1日時点で住民登録のある人に課税されます。税額は前年度の所得に応じて決定されており、多くの人は年に数万円〜数十万円となるはず。6月頃に住民税の決定通知書や納付書などが届くため、給与からの天引きあるいは直接納付によって、住民登録のある市区町村宛に支払います。
けれども日本の住民登録がなくなれば、住民税は課税されません。毎年の負担が減るため、人によっては大きなメリットになるでしょう。
ただし転出日には注意が必要です。あくまでも基準は1月1日なので、1月2日に海外転出した場合でも、1年分の住民税を払うことになってしまいますよ。
2)国民年金の加入が任意になる
日本に住む20歳以上60歳未満の人には、国民年金に加入する義務が課せられています。会社員や公務員は厚生年金に加入して保険料を支払っていますが、そのなかには国民年金の保険料も含まれていますよ。収入によって保険料が変わるとはいえ、「高い」と感じている人も多いのではないでしょうか。
海外転出届を出して非居住者になれば、国民年金の加入義務はなくなります。毎月の負担を減らしたい人は加入しなくても問題ありませんし、将来に備えて年金を支払っておきたい人は任意加入することも可能。加入・非加入の決断を自分でできるのはメリットといえるでしょう。
3)国民健康保険料がかからない
日本では高度な医療を安い医療費で受けることができますが、それを支えているのは国民皆保険制度です。全国民に医療保険への加入が義務づけられており、会社員や公務員は被用者保険、自営業者やフリーランスは国民健康保険に加入しなければなりません。
一方で住民票の登録がなくなると、国民健康保険の被保険者資格は喪失します。「保険がなくなる」というとデメリットに思えますが、これは国民健康保険料を支払う必要もなくなるということ。毎月の負担が減ると考えると、メリットでもありますね。
必要な人は、より自分のライフスタイルに合った民間保険に加入することも可能です。
帰国後は転入届の提出を忘れずに
海外転出届を出した人は、帰国後に改めて住民登録を行う必要があります。帰国後14日以内に市区町村の役所へ行き、転入届を提出してください。手続き時に必要な持ち物は、以下のとおりです。
パスポート
本人確認書類
(本籍地と提出先が異なる人)戸籍謄本、戸籍の附票
印鑑 など
自治体によっても異なるため、詳しくは自治体のホームページで確認してくださいね。
海外転出届と違って、転入届は帰国前に提出することができません。必ず帰国後に本人、または同一世帯の方が手続きを行いましょう。
また必要に応じて、国民年金や国民健康保険も再加入が必要です。帰国後の手続きをスムーズに進めるためにも、事前にやることをまとめておくとよいですね。
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海外赴任に必要な手続き
ここでは海外転出届を出す・出さないに関わらず、海外転出前にしておくべき手続きを3つご紹介します。
在留届の提出
駐在保険の検討
郵便物の管理方法見直し
このほか人によっては持ち家をどうするか考えなければなりませんし、子どもがいるなら児童手当の受給者変更も必要です。細かい手続きをまとめて外注したい人には、海外赴任サポートサービスもおすすめですよ。
1)在留届を提出する
引用:オンライン在留届|外務省
海外滞在期間が3カ月を超える人は、外務省に在留届を提出する義務があります。在留届の目的は、主に次の3点です。
外務省が海外にいる日本人の実態を把握する
現地の日本大使館などから危険情報、災害情報などを配信する
緊急時の安否確認や支援を行う
在留届の提出は、現地に着く90日前から可能になります。オンラインでも申請ができるため、活用するとよいでしょう。申請内容が変更となる場合も、オンラインから手続きできます。
一方で滞在期間が3カ月未満の人には、在留届を提出する義務はありません。その代わり外務省のサービス「たびレジ」に登録し、現地の安全情報を受け取れるようにしておくと安心です。
2)駐在保険を検討する
海外転出届を提出すると、国民健康保険の対象外となります。日本企業に雇用されていれば被用者保険は継続できるケースが多いものの、海外で日本の健康保険証が使えるわけではありません。1度は自分で治療費を支払い、手続きをすると一部が還付されるという仕組みです。
とはいえ、一度に高額な医療費を請求されるのは抵抗がある人もいますよね。そんな時に役立つのが、駐在保険です。
駐在保険に加入していると、条件を満たせばキャッシュレスで医療機関の受診が可能になります。保険によっては家族も補償対象となるので、帯同者がいる場合も安心ですよ。ただし保険料はかかるので、必要に応じて活用してください。
3)郵便物の管理方法を見直す
たとえ住民票がなくても、封筒に住所が書かれていれば、郵便物は自宅のポストに届き続けます。それを防ぐためにも、海外転出する前に郵便物の管理方法を見直さなければなりません。
実家に郵便物を転送する
家族や友人に郵便物を回収してもらう
私書箱サービスを利用する
実家に郵便物を転送するには、郵便局の転送サービスを利用しましょう。転居届を出せば、1年の間無料で転送してもらえます。
ただし実家に転送する場合も、家族や友人に回収してもらう場合も、自分で郵便物を確認するまでに時間がかかってしまいます。誰かに開封してもらってもよいですが、なかには見られたくない郵便物もありますよね。
そんな時には、私書箱サービスが便利です。
メールメイトを使えば海外からも自分で郵便物の管理ができる
メールメイトは私書箱サービスの一つで、クラウド上で郵便物を管理できる点が特徴です。メールメイトの住所宛に届いた郵便物はすべてスキャンされ、PDFデータとしてマイページ上にアップロードされます。そのためインターネット環境のあるところなら、どこにいても郵便物の確認ができるのです。
メールメイトには、ほかにも以下の機能があります。
データの保管
データの共有
郵便物の到着通知
請求書の支払い代行 など
すべての手続きがオンライン上で完結するため、海外ではもちろん、帰国後もそのまま使い続けられます。海外駐在員による利用実績もありますよ。国内で移動の多い人にもおすすめです。
海外転出届 出さないとどうなる?よくある質問と回答
最後に、海外転出届を出さないとどうなるのか知りたい人にとって、気になる質問に回答していきます。
Q1)海外転出届を出し忘れた時はどうすればいい?
海外転出届の提出期間は、原則として出国の14日前から出国日です。ただ、うっかり出し忘れたまま出国した場合は、日付をさかのぼって提出することも可能です。一時帰国の際など、なるべく早いタイミングで手続きを行ってください。
さかのぼって提出する場合は、渡航事実を証明するためにパスポートの出入国スタンプ、航空券の控え、海外ビザなどの提出も求められます。通常の持ち物にプラスして持参しましょう。なかには郵送で手続きできる自治体もあるので、ホームページを確認してみるとよいですね。
Q2)マイナンバーカードの扱いはどうなるの?
以前は海外転出届を出すと、出国日にはマイナンバーカードも失効していました。ところがマイナンバー法の改正に伴い、2024年5月以降は海外でもマイナンバーカードを継続利用できるようになったのです。
マイナンバーカードの継続利用を希望する人は、海外転出届を提出する際に「マイナンバーカード及び個人番号カード国外継続利用申請書」も記入します。するとICチップ内の住所記録が変更され、海外転出後もマイナンバーカードが利用できるようになりますよ。
もし手続きをしないまま海外転出してしまった場合、出国日にマイナンバーカードは失効します。帰国後に再発行の手続きをとらねばならないので、注意しましょう。
参考:マイナンバーカードを国外で利用する – マイナンバーカード総合サイト
Q3)海外に住んでいる間は選挙権もないの?
「日本に住んでいないと選挙権がない」と思っている人は多いかもしれません。ところが日本で選挙権を持っている人は、申請すれば海外からも選挙権を行使することができます。海外からも選挙に参加したい人は、事前に申請を行い、在外選挙人名簿への登録を済ませておきましょう。
申請方法には、以下2つのパターンがあります。
出国前に最終住所地の市区町村で申請する
出国後に在外公館で申請する
登録が完了すると在外選挙人証が交付されるため、それを持参すれば在外公館で、あるいは一時帰国中の日本で、選挙権を行使することができます。
海外転出届の提出はメリット・デメリットを考慮して決めよう
本記事では海外転出の予定がある人、あるいは海外転出を考えている人に向けて、海外転出届を出さないとどうなるのか、そしてそれに伴うメリットや注意点を解説しました。
海外転出届を出すということは、日本の非居住者になるということ。それゆえ保険や年金の加入義務はなくなりますが、できないことも増えてしまいます。メリットやデメリットを知ったうえで、海外転出届を出すかどうか考えましょう。
海外在住中はクラウド郵便サービスで日本の家に届く郵便物を完全デジタル管理
また海外転出する際は、郵便物の管理も重要です。なかでもクラウド私書箱・メールメイトを使えば、インターネット上で郵便物の確認が可能になります。そのためどこにいても、簡単に郵便物管理ができるようになりますよ。ぜひ一度お試しください。
使い方などが気になる方は下の動画をご覧ください。何か質問などもあれば、お気軽にメールメイトまでお問い合わせください。
クラウド私書箱 MailMateを使うと、世界中どこからでも自宅に届く紙の郵便物をリアルタイムにパソコンやスマホ上で確認・管理できます 📩
郵便物を受け取るためだけに帰宅や出社してませんか?
クラウド郵便で世界中どこにいてもあなたに届く紙の郵便物をリアルタイムにオンラインで確認することができます。