海外赴任中の持ち家はどうする?3つの対応と利点・注意点を解説
「海外赴任が決まったけれど、持ち家をどうするか悩んでいる」
「海外赴任中は空き家にしておいて大丈夫?」
「自宅を売却する方法が分からない」
この記事は、こんな海外赴任をする際の不安をお持ちの人に向けて書いています。
持ち家を購入する年代はキャリアアップの年代と重なっており、「マイホームを手に入れた直後に転勤になった」というケースは少なくありません。
それが海外赴任と重なると、状況によって最適な答えが変わるため、さらに判断が難しくなります。
そこで本記事では、海外赴任が決まった人に向けて持ち家の管理方法を3つご紹介します。それぞれのメリット・デメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
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【最初にチェック】持ち家の扱いを考える判断基準3つ
海外赴任中の持ち家をどうするか判断するためのポイントは、3点あります。
赴任期間
帰任後に同じ家へ戻るか
住宅ローン残債
たとえば目安として、赴任期間が2年未満であれば空き家のまま管理する方法がよいかもしれません。一方で赴任期間が2年以上、かつ帰任後も同じ家に戻るのであれば、定期借家契約で賃貸に出す方法が有力と言えるでしょう。
そして帰任後に戻る予定がないのなら、売却も有力な選択肢となります。ただし売却価格が住宅ローン残債を下回るなら、差額の自己負担が必要です。なお住まなくなってから3年を経過する日が属する年の12月31日までに売った場合、3,000万円の特別控除をうけられる可能性があります。
海外赴任中の持ち家はどうする?主な選択肢は空き家・賃貸・売却
海外赴任が決まったら、持ち家をどうするか考えなければなりません。主な選択肢は以下の3つです。
空き家として残す
賃貸物件として貸し出す
売却して家を手放す
「帰国後も元の家に住みたい」と考えている人は、空き家として残すか賃貸物件として貸し出すのがおすすめです。海外赴任の期間が短いなら空き家として残し、長期赴任が決まっているなら賃貸に出すのも良いですね。
一方で「帰国後は家族構成が変わっている」「別の場所に住む可能性がある」という人は、売却して収入を得るのも良い方法です。
持ち家の活用方法ごとの違いは、以下のとおりです。
|
空き家として残す |
賃貸に出す |
売却する |
お金の動き |
年間約60万円の支出 |
年間約75万円のプラス(※税引前) |
一時金が入る |
かかる手間 |
定期的な管理 |
管理会社との連携 確定申告 |
売却手続き |
帰任時 |
すぐに住める |
契約満了まで住めない |
新居探しが必要 |
税務手続き |
固定資産税の納付 |
毎年の確定申告 |
売却翌年の確定申告 |
住宅ローン |
返済は継続 |
金融機関への届出・承諾が必要 |
残債の一括返済が必要 |
※金額は後述の費用シミュレーションの前提に基づく目安
ただしどの方法にもメリット・デメリットがあるため、状況に応じて判断する必要があります。
選択肢1)空き家として残して帰国後も元の家に住む
空き家として残しておけば、帰国後は元の家に住むことができます。
住んでいた家が残っていれば、海外赴任中も安心感があるでしょう。
ただし家をそのまま放置してしまうと、さまざまなトラブルを引き起こしてしまいます。そのため、適切な空き家管理を続けることが大切です。
空き家のメリット:帰国時に住む場所がある
空き家として残しておく大きなメリットは、一時帰国の際はもちろん、海外赴任が終わった後にも住む場所があることです。
賃貸に出すと家が傷つくリスクもありますが、空き家の場合はそんな心配もいりません。
また、大型の家電や家具をそのまま置いておけるのもポイントです。
必要なものだけ海外に持っていき、他のものは自宅に置いたままにできるので、出国前の準備が少し楽になるでしょう。
空き家のデメリット:管理に手間とコストがかかる
空き家にしておくデメリットは、建物の劣化が早まることです。人が住んでいない状態が長く続くと、以下のようにさまざまなトラブルが発生します。
カビや虫が発生する
排水管がサビついて悪臭の原因になる
雑草がはびこるなど景観に悪影響を与える
こうしたトラブルを防ぐためにも、適切な管理体制を整えておきましょう。
住宅ローン返済中はコスト負担が重くなるので注意
空き家にする際の注意点は、住宅ローン返済中だと赴任先の住居費と住宅ローンの二重負担になること。さらに家族帯同で海外赴任する場合、その期間中の住宅ローン控除は受けられません。帰任後に再適用できる場合もありますが、一時的に負担が増してしまいます。
なお単身赴任の場合は扱いが異なるため、詳しくは後述します。
関連記事:留守宅管理サービス完全ガイド:おすすめサービス5社を比較 | MailMate
空き家として残す場合は管理体制を整えよう
持ち家を空き家として残す場合、最も手間がかかるのは管理体制の整備です。戸建ての場合はもちろんのこと、たとえマンションであっても月に1回程度は家の通水や換気、雑草の処理や害虫駆除などの作業を行う必要があります。それが家の資産価値を守ることにもつながりますよ。
家族や知人に管理をお願いしても良いですが、長期間の管理は難しいこともあるでしょう。そこでおすすめなのが、空き家管理サービスです。
空き家管理サービスを使えば、専門業者が定期的に必要な作業を行い、メールなどで作業内容を報告してくれます。空き家管理代行や空き家見守りサービスなど種類が豊富なので、コストやサービスを比較して納得できる業者を選んでください。
関連記事:海外出張で絶対に使える英語表現50選【ビジネス英語完全攻略版】 | MailMate
海外赴任中の空き家管理費用の目安
空き家管理を業者に依頼する場合、月に1万円前後がひとつの目安です。ただし基本プランには換気や通水、草木の確認や簡易清掃などが含まれ、雨漏りの補修や庭木の剪定などは、オプション料金がかかることもあります。
たとえば首都圏の一部エリアを対象とした東京ガスの「実家のお守り」の場合、料金プランは次のとおりです。
ベーシック:9,900円/回、作業時間50分(草むしりなし)
スタンダード:11,000円/回、作業時間60分(草むしり10分)
プレミアム:14,300円/回、作業時間90分(草むしり40分)
出典:実家のお守り
自分で管理できない以上、プロに任せる費用は「家の資産価値を守るための必要経費」と考えるのがおすすめです。業者ごとの料金とサービス内容は、留守宅管理サービス完全ガイドで詳しく解説しています。
空き家にする前に火災保険・防犯対策・住民税をチェック
空き家にする前に、火災保険と防犯対策、そして住民税について確認しておきましょう。いざという時に慌てないためにも、あらかじめ知識を持っておくことが大切です。
火災保険
長期間留守にするなら、必ず保険会社への連絡を行ってください。帰任後に再び住む予定がある場合は、空き家であっても「住宅物件」として契約を続けられるケースがあります。
一方で住む予定がない、あるいは人の出入りがない状態が続いた場合、「一般物件」の扱いになり、保険料が高くなる傾向にあります。また一般物件の場合、地震保険の対象外となる点にも注意が必要です。
防犯対策
郵便受けが郵便物で溢れている、草木が生い茂っているなど、空き家であることがはた目にも明らかな状態では、不審者の侵入や放火など犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。安全に空き家を管理するには、防犯対策が欠かせません。
そのためには郵便物の転送や郵便受けの封鎖、センサーライトの設置や業者による定期巡回など、いくつかの方法を組み合わせると安心です。
住民税(家屋敷課税)
海外転出届を出し、翌年1月1日時点で国内に住所がない人は、翌年度分から住民税の対象外となります。ただし自治体によっては家屋敷課税の対象となり、住民税の均等割が課税される場合があります。
家屋敷課税とは、1月1日時点で市内にいつでも住める家を持っている人にかけられる税金です。多くの自治体には「国内の別の市区町村で住民税が課税されている」という要件がありますが、なかには横浜市のように海外転出届を出していても対象となる場合があります。
自治体によって要件が異なるので、持ち家のある自治体に確認するとよいでしょう。
関連記事:海外赴任で住民票は実家に移せる?抜かないとどうなる?判断ポイントを解説 | MailMate
【改正空家法に注意】空き家の放置が固定資産税増につながる恐れも
長期間不在のまま空き家を放置していると、税負担が大きくなるというリスクもあります。住宅が建っている土地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。
引用:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
ただし適切な管理がされていない空き家については、この特例の対象外となります。以前は倒壊の危険がある「特定空家等」のみが対象外となっていましたが、2023年12月に施行された改正空家法により、市区町村長から勧告を受けた「管理不全空家」についても対象外となりました。
対象外になると、自治体によっては土地の固定資産税・都市計画税が3~4倍になることもあります。そのため空き家を残す場合は、必ず管理担当者を決めておきましょう。
参考:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
選択肢2)賃貸として貸し出して帰国後も元の家に住む
自宅を賃貸物件として貸し出す場合も、帰国後は元の家に住むことができます。あらかじめ海外赴任の期間が決まっているなら、その期間だけの賃貸契約を結ぶことも可能です。
反対に赴任期間が分からない場合は、「帰国が早まったため借主がまだ入居している」「帰国が延期になったため借手がいなくなってしまった」などのトラブルが起こるリスクもあるため、注意が必要です。
賃貸のメリット:海外赴任中に家賃収入が入る
毎月、入居者の家賃収入が得られることは、持ち家を賃貸に出す大きなメリットです。家賃が発生すると日本で確定申告を行う手間が発生しますが、それでも月々数万円〜数十万円の副収入が入るのは嬉しいですよね。
また人が住むことで、家の経年劣化を防ぐこともできます。家賃収入を得ながら家の管理ができるので、私は一石二鳥だと思います。タイミングをコントロールすれば、帰国後はそのまま自分で住むこともできますよ。
賃貸のデメリット:トラブルのリスクが高くコストもかかる
一方、賃貸物件として第三者に貸し出すことで、「床に傷がついた」「タバコのヤニで壁が汚れた」など入居者とのトラブルが起こるリスクも生まれます。場合によっては、事前に修繕やハウスクリーニングを行って環境を整ええなければならず、その分のコストがかかります。
ただしコストをかけたところで、借主が付かなければ収入は得られません。管理会社を間に挟めば借主を探しやすくなる反面、その分のコストもかかりますね。
そのため賃貸に出すことで得られるリターンは大きいものの、リスクやコストも高い方法といえます。また住宅ローン返済中の家を無断で賃貸に出すと、契約違反として一括返済を求められる場合があります。必ず事前に金融機関へ相談しましょう。
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あわせて読みたい:転勤時に留守宅を賃貸に出すなら「リロケーション」!契約の進め方や注意点も解説
賃貸として貸し出す場合はきちんと契約を結ぼう
持ち家を貸し出すと決めたら、まず管理会社を探しましょう。管理会社との打ち合わせや内見を済ませてから、実際に広告を出して借主を見つけます。無事に借主が見つかったら、管理会社に仲介してもらって契約を結びます。
家族や知人に貸し出す場合は、管理会社を挟まずに直接契約することも可能です。仲介手数料などを支払う必要がなくなるので、コストも削減できますね。ただしトラブルを避けるために、顔見知りであっても賃貸契約書を作成するのがおすすめです。
なお海外赴任中に日本で家賃収入を得る場合は、原則として日本で確定申告が必要です。自分で手続きするのが難しい場合は、事前に納税管理人を選定し、税務署に届け出ておきましょう。
契約期間が決まっているならリロケーションがおすすめ
リロケーションとは、期間限定で自宅を貸し出す仕組みのこと。2000年3月1日に定期借家制度が施行され、多くのリロケーション会社がこの契約形態を用いています。
なお賃貸の契約形態ごとの違いは、以下のとおりです。
|
普通借家契約 |
定期借家契約 |
一時使用賃貸借 |
契約の更新 |
借主が希望すれば原則更新 |
更新なし(期間満了で終了) |
更新なし |
貸主からの解約 |
正当事由が必要 |
期間満了による |
契約満了による |
契約方法 |
口頭でも成立 |
書面または電磁的記録 が必要 |
一時的な使用であることが明らかな場合のみ |
家賃相場 |
相場どおり |
相場よりやや安い傾向 |
ケースによる |
海外赴任との相性 |
△帰任時に戻れない可能性 |
◎帰任時期に合わせて設定可能 |
△短期間の賃貸向き |
一般的な普通借家契約の場合、帰任後も借主が住み続けて、自分が家に戻れなくなるリスクがあります。そのため帰任時期がある程度わかっているなら、あらかじめ期間を定めて貸し出せる定期借家契約が安心です。
赴任期間が延びる可能性があるなら、再契約の条件も相談しておくとよいですね。
あわせて読みたい:転勤時に留守宅を賃貸に出すなら「リロケーション」!契約の進め方や注意点も解説
選択肢3)売却して帰国後は新たな家を探して住む
3つめの選択肢は、持ち家を売却し、帰国後は新たな家を探すという方法です。帰国後に家族構成が変わっている、違う土地に暮らすといった可能性があるなら、思い切って家を手放すのも賢明な判断かもしれません。
家を売却する場合は、不動産会社に仲介してもらうのが一般的です。複数の不動産会社を比較して、できるだけ好条件かつ信頼できるところを選ぶようにしてください。
売却するメリット:管理コストも煩雑な賃貸手続きも不要
家を手放してしまえば、海外赴任中に管理の手間やコスト、固定資産税がかかることはなくなります。また賃貸のように煩雑な手続きをする必要もありません。家賃収入と比べてはるかに大きい金額が手に入るのも、大きなメリットです。
ただし売却額については、居住年数や広さ、駅からの距離などさまざまな条件によって変わります。そのため気になる人は、一度査定をしてみると良いでしょう。不動産会社によっても査定額は異なるため、複数査定が基本です。
売却するデメリット:売却額によっては自己負担が大きい
ほとんどの人が、家を購入する際に住宅ローンを組んでいるはずです。そして家を売却するタイミングでは、まだローンが残っている人も珍しくありません。そこで必ず確認してほしいのが、ローンの残債です。
もしも売却価格がローンの残債を下回っていれば、その分の差額は自分で補填する必要があります。
つまり収入を得るどころか、大きな赤字になってしまうでしょう。この点は大きなデメリットといえます。
また、買い手がすぐに見つかるとは限らないため、場合によっては出国までに売却手続きが完了しないこともあります。高値で売るより早く売ることを重視したい人は、不動産会社に「仲介」ではなく「買取」をしてもらうのがおすすめです。
売却する場合は必ず相場を調べておこう
持ち家を売却することになったら、まずはWEBサイトなどで売却価格の相場を調べてください。そのうえで不動産会社に相談し、改めて査定をしてもらいましょう。
納得できる不動産会社が見つかったら、契約して売却活動をスタートします。晴れて買主が見つかったら、不動産会社立ち合いのもとで契約を交わします。
万が一出発前に売却先が決まらなくても、不動産会社との話が付いていれば特に問題はありません。少々煩雑にはなりますが、海外からでも売却手続きは可能です。焦らず準備を進めてください。
関連記事:海外赴任時の携帯電話を解説|日本の電話番号を維持・現地のSIMカード | MailMate
売却時の税金と3,000万円控除の3年ルール
家を売却して得た利益は譲渡所得として扱われるため、譲渡所得税の課税対象となります。譲渡所得の計算方法は「売却価格ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除額」。なお取得費とは、土地・建物の購入代金や諸費用等の合算から減価償却分を差し引いた金額のことです。
そして自宅を売却した際の特別控除額は、最高3,000万円に上ります。控除要件の一つは、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。たとえば2026年中に家族帯同で海外に住み始めた場合、2029年12月31日までに売却することが条件です。海外赴任が長引くのなら、早めの判断が必要でしょう。
譲渡所得が生じた時は確定申告が必要
非居住者が日本の不動産を売却する際は、買主が売却代金の一部を源泉徴収する仕組みがあり、税率は原則10.21%となっています。ただし譲渡対価が1億円以下で、買主が自分や親族の居住用に購入した場合は対象外です。
いずれにせよ譲渡所得が発生した場合は、確定申告が必要となるので注意しましょう。早めに納税管理人の選定や、税理士への相談を進めておくとよいですね。
参考:No.1932 海外勤務中に不動産を売却した場合|国税庁
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マンションや賃貸住まいの場合はどうする?
同じ持ち家でも、戸建てとマンションでは状況が少し異なります。マンションの場合も選択肢は空き家にするか、賃貸に出すか、売却するかの3パターン。ただし管理規約や管理費など、戸建てにはない注意点があります。
また賃貸住まいであっても、解約すべきか頭を悩ませる人もいますよね。ここではマンションや賃貸住まいの人が、注意すべきポイントを解説します。
海外赴任中のマンションはどうする?
戸建てと違って、マンションには管理規約が存在します。まずは管理規約を確認し、以下の点をチェックしてください。
賃貸に出すことは認められているか
(賃貸に出す場合)管理組合への届出は必要か
(空き家にする場合)不在期間の管理費や修繕積立金はどうなるか
基本的には空き家にしている期間も、管理費や修繕積立金の支払いは必要です。ただし庭の手入れが不要な分、戸建てよりも空き家の管理費用は安いケースが多いでしょう。
なお管理組合からの案内や修繕工事等の通知を見逃さないためには、海外からも郵便物を確認できるようにしておくことが大切です。
賃貸住まいの人は解約する?借りたままにする?
賃貸住まいの場合は、借りたままにするメリットがほとんどありません。長期にわたって家賃を払い続けるよりも、帰任後に新居を探すほうがコスト負担は小さいはずです。物件によって解約予告の期限は異なるので、契約書で確認し、早めに手続きを済ませましょう。解約手続きが遅くなると、余計な家賃がかかりますよ。
なお使っていた家電や家具は、赴任先へ送るか実家やトランクルームに預ける、あるいは処分する必要があります。会社に依頼して引っ越しをする場合、どこまでが費用補助の対象となるか確認しておきましょう。
結局どうすればいい?状況別ガイド!
結局どうすればいいか迷っている海外駐在予定の方は、以下の状況別のガイドを参考にしてみてください。
1)海外赴任期間は決まっていますか?
2年未満の場合→空き家として残し、管理サービスを利用する
2年以上で帰任後も戻る場合→定期借家契約での賃貸(リロケーション)を検討
帰任後に戻らない・未定の場合→売却を検討(3,000万円控除の期限に注意)
2)住宅ローンの残債状況は?
残債なし→全ての選択肢が可能
残債あり(想定の売却価格>残債)→全ての選択肢が可能
残債あり(想定の売却価格<残債)→売却は慎重に検討する
住宅ローン残債が売却価格を上回る場合、売却するには差額を自己資金で補わなければなりません。その場合は、賃貸に出して家賃収入を得ながらローン返済を続ける方法も検討しましょう。
3)帰国後の希望は?
同じ家に住みたい→空き家・賃貸・リロケーション
家族構成の変化が予定される→売却を検討
住む場所が変わる可能性がある→売却を検討
4)家族の状況は?
単身赴任で自宅に家族が住み続ける→空き家・賃貸は検討不要。条件を満たせば住宅ローン控除の継続も可能
家族帯同で海外赴任する→空き家・賃貸・売却から選択する。赴任中の住宅ローン控除は受けられない(帰国後の再適用は可能な場合もある)
住宅ローン返済中に海外赴任する場合
海外赴任が決まった時点で、住宅ローンの残債があるという人も多いでしょう。そんな時は、出国前に金融機関への連絡と住宅ローン控除の手続きを済ませなければなりません。
順に詳しく見ていきます。
金融機関への連絡
住宅ローンは、基本的に本人や家族が住むことを前提にした融資です。とはいえやむを得ない事情があれば、再び本人や家族が住む場合に限って賃貸に出せるケースもあるため、金融機関へ連絡しましょう。
たとえば「フラット35」の場合、転勤等で一時的に居住できない時は、住宅ローンの残債があっても賃貸に出すことを認めています。ただしそのためには、金融機関の窓口で住所変更の手続きを行う必要がありますよ。
金融機関に無断で賃貸に出した場合、契約違反と判断され、残債の一括返済を求められる可能性があります。海外赴任中に賃貸を考えているなら、まず借入先の金融機関にご相談ください。
参考:フラット35
住宅ローン控除の手続き
海外赴任といっても、住宅ローンの名義人が単身赴任する場合と家族帯同する場合では、住宅ローン控除の扱いが異なります。
単身赴任の場合
2016年4月1日以降に取得した住宅の場合、名義人が非居住者になっても、生計を一にする家族が住み続けるのであれば、住宅ローン控除を受けられます。
注意すべきは、控除の対象となるのは、出国前の給与所得や国内の不動産所得など、総合課税対象の所得がある年のみという点。国内源泉所得がなければ所得税が発生しないため、控除も受けられないという仕組みです。
家族帯同の場合
家族帯同で海外赴任する場合は、住宅ローン控除を受けることはできません。ただし転勤などのやむを得ない事情であれば、帰国後に控除の再適用が可能です。
控除の再適用を受けたい人は、出国前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておく必要があります。未提出のままでは再適用ができないため、忘れずに所轄の税務署長へと提出してください。
なお控除期間の延長はできません。たとえば10年間の控除期間中に2年間の海外赴任期間があれば、控除を受けられるのは8年間(賃貸に出した場合は7年間)となります。
海外赴任中の持ち家にかかる税金と手続き
海外赴任中であっても、日本に家を所有していると税金がかかります。主なものは不動産所得にかかる所得税と、固定資産税。特に固定資産税は空き家にする場合も発生するので、きちんと確認しておきましょう。
不動産所得があれば確定申告が必要
海外赴任をして非居住者となっても、日本の不動産を貸して得た家賃は日本の不動産所得として扱われるため、所得税が課税されます。そのため所得額に関わらず、原則として確定申告が必要です。納税管理人を立てておくと、スムーズに確定申告ができますよ。
また非居住者から日本の不動産を借りて家賃を払う人は、家賃の20.42%を源泉徴収して税務署に納めなければなりません。個人が自分やその家族の居住用として借りる場合は対象外ですが、法人が借りる場合はその分入金額が減ってしまいます。手取りが大きく変わるため、注意が必要です。
参考:No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき|国税庁
固定資産税は納付が必要
固定資産税は、毎年1月1日時点における日本の不動産所有者に課税されます。これは海外赴任中でも変わらないので、口座振替を設定しておくか、納税管理人を定めて自治体へ届け出ておきましょう。
費用シミュレーション:3つの選択肢を比較
ここでは、空き家・賃貸・売却のそれぞれについて、どのくらいの費用がかかるかシミュレーションします。主要都市圏にある戸建て(100平米・固定資産税評価額1,300万円)を例として、2026年時点の制度に基づいて試算しました。
単価はあくまでも目安なので、実際の価格は見積もりで確認してくださいね。
空き家として管理する場合(年間費用)
管理サービス費用:月1万円×12ヶ月 = 12万円
固定資産税(住宅用地特例あり):約6.5万円
都市計画税(税率0.3%の場合):約1.9万円
水道光熱費:約4万円
火災保険:約15万円
修繕費:約15万円
剪定費:約5万円(年に2回)
年間総費用:約59.4万円
⚠︎住宅ローン返済は含みません。管理不全空家として勧告を受けた場合は住宅用地特例の対象外となるため、土地分の税額が数倍になる可能性があります。また自治体によっては、家屋敷課税がかかる場合があります。
賃貸に出す場合(年間収支)
家賃収入:月12万円(仮)×11ヶ月 = 132万円
賃貸管理会社手数料(家賃の5%):-6.6万円
契約事務手数料(家賃の1カ月分):-12万円
固定資産税(住宅用地特例あり):-6.5万円
都市計画税(税率0.3%の場合):-1.9万円
保険(オーナー用):約-10万円(仮定)
修繕費:約-15万円
剪定費:約-5万円(年に2回)
年間収支:約75万円のプラス(税引前)
⚠︎実際はここから所得税が引かれます。ただ建物の減価償却費は経費になるため、課税対象の所得はこれより少なくなります。賃貸中は住宅ローン控除が受けられない点、空室が長引くと収支は大きく下振れする点にも注意が必要です。
売却する場合(住宅ローン完済)
売却想定価格:2,000万円
仲介手数料(上限額):-72.6万円
抵当権抹消費用(司法書士):約-3万円
印紙税(2027年3月31日までの軽減税率):約-1万円
その他雑費:約-5万円
手取り額:約1,918万円(税引前)
⚠︎利益が出た場合は、譲渡所得税がかかります。仮に譲渡益が500万円であれば、3,000万円特別控除が使えるなら税金はゼロになります。期限を過ぎているなど特別控除の対象外となった場合、税負担は増します。
あくまでも目安のシミュレーションですので、参考までにしてください。
→海外在住中の固定資産税に関してはこちら:固定資産税の納税管理人は必要?納税管理人の役割や手続き方法を解説
海外赴任前の準備は持ち家の管理だけではない
海外赴任時は、出国前に持ち家に関する手続きも済ませておきましょう。
金融機関へ住所変更を届け出る
(賃貸に出す場合)金融機関の承諾を得る
(家族帯同の場合)税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する
納税管理人を定めて届け出る
火災保険の契約内容を保険会社と確認する
郵便物の転送先を決める
抜け漏れがないよう、あらかじめリスト化しておくとよいですね。
そのほか出国前にしておく準備
持ち家の管理・手続きに加えて、以下の準備も必要です。
パスポートを取得する ※有効期限に注意
(持っていない人は)クレジットカードを作成する
クレジットカード等の住所変更を行う
ライフライン(水道、電気、インターネット等)を解約する
健康診断を受診する、歯の治療を行う
海外対応の携帯電話を準備する
海外転出届を提出する(1年以上滞在する場合)
海外の医療機関にかかると高額になる場合が多いので、日本で健康診断や治療を済ませておきましょう。
なかでも忘れがちなのが、海外転出届です。住民税は1月1日時点の住所に基づいて課税されるため、1年以上海外に滞在する場合は忘れずに提出してください。なお1年未満の滞在であれば、原則として提出は不要です。
ただし持ち家がある自治体によっては、海外転出届を出していても家屋敷課税がかかる場合があります。
海外赴任中の日本の持ち家を適切に管理しよう
本記事では海外赴任が決まった人に向け、日本の持ち家を管理する方法についてご紹介しました。空き家にする、家を貸す、家を売るなどの選択肢があるので、自分の状況に合った最適な方法を選んでください。留守宅を管理してもらうには、知人や業者、管理会社などに依頼しておくことも重要です。
安心して赴任先に向かうためにも、留守宅管理の手はずを整えておきましょう。どの方法を選んでも、税金や契約の判断は家の価値に大きく影響します。迷った時は、不動産会社や税理士などプロに相談することをおすすめします。
海外での郵便物管理にはクラウド私書箱が便利
家の管理方法を決めたら、郵便物の管理についても考える必要があります。空き家のポストに郵便物が溜まると犯罪を誘発しかねないので、実家に転送する人も多いでしょう。ただ、その場合は自分が郵便物を確認するまでにタイムラグが発生するため、スムーズな郵便物管理は難しくなってしまいます。
そこでおすすめなのが、郵便物の受取代行ができるメールメイトです。クラウド上で郵便物の受け取り・確認ができるので、どこにいたとしてもスムーズに郵便物を管理できますよ。必要であれば業者宛の請求書の支払い代行も依頼できるので、海外にいながら柔軟な対応が可能です。
利用開始から30日間は全額返金保証が付いているので、ぜひこの機会に使ってみてはいかがでしょうか。
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関連記事:海外在住者になったら日本の住民票はどうなる? | MailMate
関連記事:海外転出後も確定申告や納税は必要?納税管理人についても解説 | MailMate
関連記事:海外赴任から帰国後、所得税はいつから?年末調整・住民税・申告の注意点も解説
海外赴任中の持ち家に関してよくある質問
最後に、海外赴任中の持ち家に関してよくある質問に回答していきます。
持ち家を賃貸に出した場合の確定申告は必要?
はい、原則として必要です。
非居住者が日本の不動産から得た収入は、日本の課税対象となります。そのため金額に関わらず、確定申告しなければなりません。
海外から手続きするのは難しいため、出国前に納税管理人を選定し、税務署に届け出ておくとスムーズです。
住宅ローンが残っている物件も賃貸に出せる?
金融機関が認めれば可能です。
たとえばフラット35の場合、転勤などのやむを得ない事情があれば、住所変更の手続きをすることで賃貸に出せるようになります。ただし民間ローンは金融機関ごとに条件が異なるため、必ず事前に確認しましょう。
無断で賃貸に出した場合、住宅ローンの一括返済を求められるリスクがあるため注意してください。
海外移住の場合も考え方は変わらない?
基本的には同じ考え方ですが、海外移住の場合は売却が有力な選択肢となります。
家を管理するには手間や税金がかかるため、自分が住まないのであれば売却したほうがプラスになるケースが多いでしょう。また住まなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すれば、3,000万円の特別控除の対象となる可能性もあります。移住時期と売却時期をあわせて検討してくださいね。
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