単身赴任時に住民票を移す必要はある?~判断基準と注意点を解説~
会社から転勤命令が出た際に、家族と離れて暮らす単身赴任を選ぶご家庭もあるでしょう。
単身赴任が決まるとさまざまな手続きが必要となりますが、住民票の異動は必要なのでしょうか。
「引っ越すのだから住民票は異動させるべき」と考える方もいれば、「一時的に住むだけで住民票を移す必要はない」と考える方もいるかもしれません。
そこで今回は単身赴任時に住民票を移す必要はあるのか、そして住民票を移した場合のメリットやデメリットは何なのか、という点を考えていきます。
これから単身赴任を控えている方は、ぜひ参考にしてください。
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単身赴任で住民票は移す判断基準は生活拠点
住民票を移すかどうかの判断基準は、「生活拠点がどちらなのか」という点です。
基本的に生活拠点が変わる場合は住民票の異動も必要ですが、単身赴任のパターンによっては住民票を移さない場合もあります。
住民票を移さなくても良いケース |
・単身赴任の期間が1年以内 ・定期的に元の家に帰る |
住民票を移すべきケース |
・単身赴任の期間が長い ・生活拠点が変わる場合 |
詳しく見ていきましょう。
住民票を移さなくても良いケース
以下のケースに当てはまるならば、あえて住民票を移さなくてよいでしょう。
単身赴任の期間が1年以内と決まっている
毎週、毎月など定期的に元の家に帰る
あらかじめ短期間の赴任だと分かっているケース、あるいは週末は元の家に帰るなど生活の拠点が変わらないケースでは、新しい土地に住民票を移さなくても大丈夫です。
とはいえ、住民票を移すことによって受けられるメリットもあります。メリットについては後述するので、判断材料の一つにしてください。
住民票を移すべきケース
単身赴任の期間が長い、単身赴任先が遠くてなかなか元の家に帰れないなど、生活拠点が変わる場合は住民票を移した方が良いでしょう。生活期間が長くなるにつれ、住民票がないことによるデメリットが大きくなります。
住民票を移す場合は、同じ市区町村内なら「転居届」、別の市区町村なら「転出届」と「転入届」が必要です。
特に別の市区町村へ赴任する際は、元の市区町村で「転出証明書」をもらっておかないと赴任先で「転入届」が出せません。忘れずに手続きを行いましょう。
なお、2023年2月からは、マイナンバーカードを使って「引越しワンストップサービス」(マイナポータル)から転出届をオンラインで提出できるようになりました。ただし転入届は引っ越し先の市区町村窓口での手続きが必要で、すべてがオンラインだけで完結するわけではありません。
参考:デジタル庁リーフレット
おすすめ記事:【海外赴任が決まった方】住民票・転出届・郵便物・必要な手続きを解説
単身赴任で住民票を移すメリット
住民票を移すのは面倒かもしれませんが、一方で多くのメリットが得られます。メリットとデメリットを比較検討したうえで、住民票を移すかどうか判断してください。
単身赴任で住民票を移すメリット |
・赴任先で証明書の発行が行える ・行政サービスが受けられる ・選挙権が得られる |
メリット①赴任先で証明書の発行が行える
住民票のコピーや戸籍全部事項証明書など、各種の証明書は住民票のある市区町村でしか発行できません。
そのため住民票を移動させていないと、元の市区町村に住む家族が発行・郵送しなければならず、手間と時間がかかります。
けれども住民票を移しておけば、証明書が必要になった場合にすぐ発行ができるのです。転居直後は書類の提出も多いので、証明書の発行がスムーズに進むのは大きなメリットといえます。
メリット②行政サービスが受けられる
公共施設の利用や健康診断など、市区町村が独自に行っている行政サービスが受けられる点もメリットです。「図書館で本を借りたい」「無料の検診を受けたい」など、赴任先の行政サービスを利用したい方は住民票を移しておくと便利です。
ただし行政サービスの内容は各自治体によって異なります。
気になる方は、事前にそれぞれの市区町村のサービス内容を比較しておくと良いでしょう。
メリット③選挙権が得られる
選挙権は18歳以上の全国民にありますが、その市区町村での選挙権が得られるのは、住民票を異動してから3カ月後となっています。そのため住民票を移しておかないと、赴任先の市区町村における選挙権は発生しません。
その代わり元の市区町村における選挙権はあるので、選挙時に元の家に帰ることができるなら、問題なく選挙権を行使できます。
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単身赴任で住民票を移すデメリット
住民票を移すことによるメリットは多いですが、一方でデメリットも存在します。
単身赴任で住民票を移すデメリット |
・戻った時に再度手続きが必要 ・児童手当の変更手続きが必要 ・印鑑登録が抹消される |
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デメリット①戻った時に再度手続きが必要
赴任期間が短い場合、短期間で二度も手続きを行う負担は大きくなります。
もちろん住民票を移した場合は、あわせてクレジットカード会社や保険会社など、各所へ住所変更を伝えなければなりません。
そして戻った時に再度同じ手続きを踏むことになるので、忙しいなかで手間がかかってしまいます。
デメリット②児童手当の変更手続きが必要
たとえば「児童手当の受給者である夫が、単身赴任で別の市区町村に異動する」というケースを例にします。このケースで夫が住民票を異動すると、元の市区町村では児童手当が受けられなくなってしまうのです。
そのため「受給事由消滅届」「児童手当認定請求書」という書類をそれぞれ提出しなければならず、大きな負担となります。
デメリット③印鑑登録が抹消される
自動車の購入や住宅ローンの申し込みなど、重要な時に必要となる印鑑登録ですが、これは住民票を異動させると抹消されてしまいます。「印鑑登録の抹消手続き」が必要な場合もありますが、転出届けを出した際に自動で抹消される場合もあるのです。
そして旧住所が入った印鑑登録証明書は使えないため、赴任先で新たに印鑑登録をする必要があります。この時登録する印鑑は、以前に登録した印鑑と同じで構いません。「契約しようと思ったら、印鑑登録が前の住所のままだった」ということがないよう注意しましょう。
単身赴任で住宅ローン控除はどうなる?住民票を移しても控除は続く?
住宅ローンを利用してマイホームを購入した後に単身赴任が決まった場合、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が受けられなくなるのでは」と心配する方も少なくありません。
国税庁の見解では、転勤や単身赴任などのやむを得ない事情によって本人がその家に住めなくなった場合でも、配偶者や扶養親族など生計を一にする家族がそのまま住み続けていれば、住宅ローン控除の適用を継続して受けられるとされています。
つまり、単身赴任のために本人だけ住民票を移し、家族の住民票は自宅に残したままにしても、住宅ローン控除への影響は基本的にありません。一方で、家族全員で転居して自宅が空き家になる場合や、単身赴任先に家族全員の住民票を移す場合は取り扱いが異なるため、年末調整や確定申告の前に税務署や勤務先の担当窓口に確認しておくと安心です。
なお、海外赴任にともなう住宅ローン控除の詳細な手続きについては、「住宅ローン控除は海外赴任中も受けられる?」の記事でも解説しています。
単身赴任で住民票を移すと住民税はどうなる?
住民税は「その年の1月1日時点で住民票がある市区町村」に対して納めるしくみになっています(賦課期日)。
したがって、単身赴任が決まった時期によって、その年の住民税がどちらの自治体に課税されるかが変わります。たとえば1月1日時点で住民票をまだ元の家に残していれば、その年の住民税は元の市区町村に納めます。逆に1月1日より前に単身赴任先へ住民票を移していれば、単身赴任先の市区町村が課税団体になります。年の途中で住民票を移しても、その年の住民税の納め先が途中で変わるわけではない点に注意してください。
単身赴任で世帯分離するメリット・デメリット
住民票の異動先を考えるとき、「住民票をどこに置くか」だけでなく「世帯をどう分けるか」という論点が出てくることがあります。これが「世帯分離」です。
世帯分離とは、同じ住所に住む家族を、住民票上は複数の世帯(世帯主が別の世帯)に分ける手続きのことです。単身赴任そのものとは別の制度ですが、高等学校等就学支援金制度(高校授業料の実質無償化)や保育料など、世帯の所得を基準に判定される制度において、世帯を分けることで一部の家族の判定所得を下げられる場合があります。
ただし、世帯分離には注意すべきデメリットもあります。
・国民健康保険や介護保険の保険料は世帯ごとに計算されるため、世帯を分けることでかえって世帯全体の保険料負担が増えるケースがある
・運転免許証やマイナンバーカードなど、住所に紐づく各種書類は世帯分離をしても住所自体が変わるわけではないため、単身赴任にともなう住民票異動(引っ越し)の手続きとは別に考える必要がある
・保育所の入所判定など、自治体によっては世帯を分けていることが不利に働く場合がある
単身赴任にともなって住民票を移す・移さないの判断と、世帯分離をする・しないの判断は別軸の話です。両方を混同せず、それぞれ目的に応じて検討しましょう。
単身赴任で住民票を移す場合の注意点
単身赴任で住民票を移すとなった場合、ぜひ注意してほしいポイントが3点あります。
単身赴任で住民票を移す場合の注意点 |
・世帯主の変更 ・身分証明書の住所変更 ・転居後14日以内に手続きすること |
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注意点①世帯主の変更
たとえば一家の世帯主である夫が単身赴任で異動する場合、夫の代わりとなる世帯主を選ばなければなりません。
子どもが15歳未満かつ夫以外の大人が1人しかいない場合、その方が自動的に世帯主となります。ただ、子どもが満15歳以上である、あるいは大人が複数人いる場合は、その中の誰かを世帯主として「世帯主変更届」を提出する必要があります。
注意点②身分証明書の住所変更
運転免許証の住所変更は警察署や免許センターへ行かなければならないので、赴任後なるべく早く済ませておきましょう。ほかにも銀行や車庫証明書など住所を変更すべきものは多いので、あらかじめピックアップしておいてください。
運転免許証の更新のお知らせ(更新連絡書)は登録されている住所に届きます。住民票を移さずに免許証の住所だけを変更した場合や、逆に住所変更の手続きを後回しにした場合は、更新のお知らせが手元に届かず、更新時期に気づかないリスクもあるため注意しましょう。
マイナンバーカードについても、住所変更から90日以内に手続きをしないとカード自体が失効する点に注意が必要です。住所変更の手続き一覧は「引っ越し住所変更一覧リスト」の記事でもまとめています。
注意点③転居後14日以内に手続きすること
これは住民基本台帳法で定められている内容で、罰則も設けられています。
生活の拠点を赴任先に移す場合は、14日以内に手続きをしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 単身赴任の期間が1年未満なら、住民票は移さなくてもいいですか?
A. はい、単身赴任の期間があらかじめ1年未満と決まっていて、生活の拠点が引き続き元の家にある場合は、住民票を移さなくても問題ないとされるのが一般的です。ただし実際にどの程度の期間・頻度で元の家に戻るかによって判断が分かれるため、迷う場合はお住まいの市区町村の窓口に確認すると確実です。
Q2. 単身赴任先で世帯主になった場合、住宅ローン控除に影響はありますか?
A. 住宅ローンを組んでいる自宅に配偶者などの家族がそのまま住み続けているのであれば、単身赴任者本人が赴任先で世帯主になったとしても、住宅ローン控除の適用に基本的な影響はないとされています。ただし個別の契約内容によって扱いが異なる場合があるため、控除を申告する際は税務署や勤務先に確認しておきましょう。
Q3. マイナポータルを使えば、単身赴任の住民票異動もオンラインでできますか?
A. 2023年2月から始まった「引越しワンストップサービス」を使うと、マイナンバーカードを使ってマイナポータルから転出届をオンラインで提出できます。ただし転入届は引っ越し先の市区町村窓口で本人が手続きする必要があり、すべてがオンラインだけで完結するわけではない点に注意してください。
Q4. 世帯主変更届は誰が、いつまでに提出する必要がありますか?
A. 世帯主が単身赴任などで異動し、代わりの世帯主を立てる必要がある場合、新しく世帯主になる方(またはその世帯の代理人)が、変更が生じてから14日以内に市区町村窓口へ「世帯主変更届」を提出します。ほかの住民異動届と同様、正当な理由なく手続きが遅れると住民基本台帳法上の過料の対象になり得るため、早めに済ませておきましょう。
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ここまでお伝えしたように、単身赴任時に必ずしも住民票を移す必要はありません。
ポイントは「生活の拠点がどちらにあるか」という点です。赴任期間やメリット・デメリットなども考慮して、ケースによって判断してください。
ただ、いずれにせよ単身赴任中は郵便の問題が出てきます。
もし住民票を移すのなら、郵便物は元の家から転送され、赴任先に届くようになります。便利ですが、日中に届く書留等は受け取りづらくなってしまうでしょう。
一方で住民票を移さなければ、元の家にすべての郵便物が届きます。定期的に元の家に帰れるなら問題ありませんが、それでも急ぎの書類などは確認に時間がかかってしまいます。
こうした問題を解決するには、MailMateがおすすめです。MailMateを使えば、オンラインで郵便物を受け取ることができます。転送手続きも簡単なので、必要な郵便物を赴任先に送ることができるのです。
ほかにも郵便物のスキャンや支払い代行などさまざまな機能があるので、単身赴任を控えている方はぜひ一度MailMateを試してみてはいかがでしょうか。
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