ハンコ文化を見直そう!企業が脱ハンコへ向けてできること
「ハンコ出社をなくすには?」
「ハンコの電子化をするメリットとは?」
「ハンコ文化が持つデメリットとは?」
上のような疑問をお持ちの方はいませんか?
本記事では、重要性の高い書類に必要とされている日本文化のはんこ、印鑑についてそのメリットとデメリット、そして電子化の方法についてご紹介いたします。
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ハンコ文化(印鑑文化)があるのは日本だけ?
日本におけるハンコ文化(印鑑文化)の歴史は長いです。印鑑が庶民の間でも広まったのは江戸時代とされています。明治時代には印鑑登録制度も始まりました。
一方、アメリカやヨーロッパには、ハンコを使う文化はありません。ハンコ文化というものは日本独自のものと言えます。
世界的に見ても文化的価値の高い日本のハンコ
歴史をさかのぼると、日本最古のハンコは金印「漢委奴国王」です。
その後も着実に発展してきたハンコ文化は、世界的にも文化的な価値が高くなっていきました。一般的な印鑑はもちろん、消しゴムはんこなども人気を集めています。
一方、ビジネスをはじめとする各種手続きにおいても頻繁にハンコが使われています。
そして近年ハンコ文化が問題となっているのは、多くの書類においてハンコが必要とされているためです。
書類のやり取りにおいて押印を必要とする「ハンコ文化」
ハンコには大きく分けて3種類あります。
実印:土地や車の購入、ローン契約などに使用する。役所に印鑑を登録する
銀行印:銀行口座の開設などに使用する。銀行に印鑑を登録する
認印:日常のさまざまな場面で使用する。印鑑の登録は不要
なかでも認印は日常のさまざまな場面で使われていますが、「慣習でハンコを押している」というケースも多いのではないでしょうか。
たとえば契約書の締結には「ハンコが必要」と考えている方も多いでしょう。
ところが経済産業省によると、法律上は印鑑の押印が求められているわけではありません。
契約書だけでなく、押印が必要とされる書類は多くあります。これは日本企業にハンコ文化が根付いていることが理由です。
参考:押印に関するQ&A
おすすめ記事:「甲乙つけがたい」とはどういう意味?|由来・例文・類語も紹介
ハンコの持つ意義とメリット
法律によって押印が必要とされている場面では、自分のハンコを押さなければいけません。
本人以外が押印すると、文書偽造罪に当たる可能性があるので注意が必要です。
一方で法律的根拠はないものの、ハンコを押すよう求められることもあるでしょう。そこにはハンコの持つメリットがあります。
責任の所在が明確になる
承認や確認をした証拠が残る
ハンコが押されていれば「誰が確認したのか」という記録が残るので、後のトラブルを防ぐことができます。ハンコが押された書類は、信頼性も高まりますね。
こうした理由から、日本のハンコ文化は続いてきたと考えられます。
実際の信頼性は?
一方で、署名や指紋に比べて実際にハンコを押すことで信頼性が高まるのかというとそうではありません。なぜなら、日本には同じ苗字を持つ人が多くいるためです。
数百円で買うことができるハンコでも、公式のハンコとして登録することができる場合もあります。そのため、実際は、同じ名前の多くの人が全く同じハンコを使っているという可能性もあるのです。
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ハンコ文化がいらない理由は?
ハンコ文化にはメリットもある一方で、近年ではハンコ文化が足かせとなる場面も増えてきました。
そのため「ハンコは不要」「脱ハンコ文化」という考え方が進んでいます。
当たり前のことですが、ハンコは紙に押さなければなりません。
それでは企業においてペーパーレス化やデジタル化が進まず、業務の効率化もできないでしょう。それだけでなく、さまざまな問題点も生じるのです。
テレワーク中もハンコ出社が必要になる
参考:テレワークをしている74.1%が、出社しなければ出来ない業務のために出社することがある
2020年頃から新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、テレワークをはじめ、働き方の多様性が広がりました。その一方で、押印のために出社するという「ハンコ出社」も話題になったのです。
日本トレンドリサーチの調査によると、テレワークの間に出社していた人は、74.1%にも及びました。また「郵便物の受取」「セキュリティの関係」などさまざまな出社理由があるなかで、最も多かったのは「書類の押印」という理由でした。
本来であればテレワークができるところを、押印のために出社するのは非効率ですよね。これは企業の持つハンコ文化における大きなデメリットとなっています。
ハンコを押すためのコストがかかる
ハンコを押すためには、紙ベースで書類をやり取りしなければなりません。そのためには印刷代や紙代、さらに契約書を郵送する場合は郵送料といったコストがかかります。一つ一つは少額でも、積み重なると大きなコストになる可能性もあるでしょう。
また紙ベースで保管された書類は管理しづらく、「書類を探す」という業務が発生しがちです。その分本来の業務に割く時間が減ってしまい、必要以上に人件費がかかるリスクもあります。脱ハンコ文化が進まない限り、書類の電子化も進みません。
ハンコを待つ間にロスタイムが生じる
たとえば上司の押印が必要な書類がある場面で、上司が出張中だとします。すると出張中はハンコが押せないため、意思決定や契約が進まず、業務が滞ってしまうでしょう。
このようにハンコを待つ時間が長くて思うように業務が進まず、効率が悪くなるケースは珍しくありません。作業手順に「上司の押印」が含まれてしまう点は、ハンコ文化のデメリットといえます。
ハンコ文化を脱却するメリット3つ
多くの企業においては、ハンコの持つメリット以上にデメリットが上回るでしょう。そのため近年では、脱ハンコを進める動きが活発化してきました。ハンコ文化を脱却することで、大きく3つのメリットが得られます。
1. ペーパーレス化・電子化が促進される
大きなメリットの一つが、書類のペーパーレス化・電子化の促進です。電子化された書類は管理しやすく、検索や共有もしやすくなります。印刷代や紙代といったコストの削減も可能です。
遠方の企業と契約する際にも、契約書の電子化がされていれば、電子メールでやり取りできます。郵送と違って時間がかからないため、業務がスピーディーに進むでしょう。
2. 書類の安全性が保たれる
ペーパーレス化・電子化が進めば、書類を紙ベースで持ち歩く必要がありません。そのため重要な書類の紛失や盗難、あるいは書類の改ざんといったリスクを下げることができます。
ただしサイバー攻撃など、インターネットを使った犯罪に巻き込まれる可能性はあるでしょう。それを防ぐために、社内のセキュリティ環境を整えておく必要があります。
3. 多様な働き方が可能になる
書類の電子化が進めば、インターネット上で書類のやり取りができます。場所に捉われることなくスムーズに承認作業が進むため、ハンコを待つ時間も削減できるでしょう。
そして押印の必要がなくなれば、テレワークの間にハンコ出社をする必要がなくなります。テレワーク環境が整うため、多様な働き方が可能になるのです。
脱ハンコ文化を目指す場合にすべきこと
日本のハンコ文化は長く継続していたため、いきなり脱ハンコを進めるのは難しいかもしれません。脱ハンコ文化を目指す場合、2つのことから始めてください。
ハンコが必要な書類を見定める
法律上ハンコの必要な書類は、あまり多くありません。まずは本当にハンコが必要な書類なのか見定めることから始めてください。
契約書などは取引先の方針を確認しなければなりませんが、社内文書であれば、脱ハンコが進みやすいのではないでしょうか。
行政手続きにおいても印鑑の押印廃止が進められています。令和3年度より年末調整や確定申告の書類など、さまざまな場面で押印が不要となりました。2020年には押印を廃止し、電子認証を推進するという宣言が出ています。
参考:経団連:「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言
適切な電子ツールを導入する
引用:シヤチハタクラウド
これまでは承認が済んだことを示す、あるいは責任の所在を明確にしておくなど、さまざまな理由でハンコが使われてきました。そのため脱ハンコを進める際には、ハンコに代わるツールも考えておかなければなりません。
ハンコの代わりとして、たとえば以下のツールがあります。
電子印鑑:デジタルハンコとも呼ばれる。印面をデータ化し、電子化された文書に捺印できる
電子署名:本人が署名したことを証明できる。改ざんができない
参考:電子署名|デジタル庁 (digital.go.jp)
たとえばこうしたツールを導入すれば、スムーズに電子承認や電子契約につなげられます。そうすると脱ハンコにつなげやすいでしょう。
はんこが電子化されることには多くのメリットが
以上、本記事では、日本のハンコ文化の起源、メリット、デメリット、そして企業がこれまでのハンコ文化を廃強するためにできることについて解説いたしました。
柔軟な働き方やワークライフバランスが重要視される今日では、会社の書類にハンコを押すために出社しないといけないという考えに賛同できない人もいるかもしれません。
企業は、脱はんこ文化を目指すことで優秀な人材を獲得・維持しやすく、従業員の定着率向上、そして業務の効率化など様々なメリットを享受することができるでしょう。
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