海外転出したら住民税はどうする?いつまで払う・払わないとどうなるか解説

海外赴任や海外移住の予定があり、税金について不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
中でも、住民税というのは、海外転出のタイミングによっては払わなくてよいなどのルールがあり、ややこしいですよね。
今回は、「自分は海外転出予定だけど住民税や県民税を払わなくてはいけないの?」「いつまで住民税を払う必要があるの?」「住民税を払わなかったらどうなるの?」といった疑問にわかりやすくお答えします。
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海外転出で住民税が課税されるかの判断基準はシンプル

海外転出と住民税の関係は意外とシンプルで、「1月1日時点で日本に住民票があるかどうか」が判断基準となります。つまり、海外転出届の提出=住民票の除票のタイミングが重要、というわけです。
具体的に例をあげると、
2025年1月1日時点で日本に住民票があるAさん→2025年分の住民税はかかる(2024年の所得に対して)
2024年12月31日までに除票したBさん → 2025年分の住民税は発生しない
ということになります。
ちなみに、Bさんの場合、住民税はかからないものの、所得税の確定申告などが必要になることはあります。
海外転出で住民税を払わなければいけないケース

「海外転出と住民税の関係はわかったけれど、結局、自分は住民税を払う必要があるの?ないの?」とお悩みの方に、本項目では海外転出で住民税を払わなければならないケースをくわしく紹介します。
海外転出で住民税を払わなければならないのは、以下のような場合です。
1月1日時点で日本に住民票がある
あなたが海外転出届を申請するのが1月1日以降を予定している場合や、すでに1月1日以降に海外転出の届け出をした、という場合であれば、その年は住民税を払う必要があります。
なぜなら、国外転出届を提出した日によって、その年の住民税を支払わなければならないかどうかは変わってくるからです。前述した通り、1月1日時点で日本に住民票があれば、その年の住民税は課税されるということは覚えておきましょう。
これは、住民税が「その年の1月1日に住民票がある自治体に対して、前年の所得に基づいて課税される税金」であるためです。
つまり年の途中で国外転出しても住民税が課税される
ということは「年の途中で海外へ引っ越した場合でも、住民税は課税されるの?」と疑問を持つ方も多いですが、結論から言うと課税されます。
これは、地方税法により、1月1日時点で住民登録がある市区町村に対して、その年の住民税が発生することが決まっているためです。年の途中で国外転出した場合は、転出日以降も「非居住者」として扱われますが、その年の住民税がかかるかどうかは、転出する前、つまり1月1日時点で住民票があったかどうかで判断されます。
前年に一定以上の所得がある
住民税は前年の所得に対して発生するもののため、「前年に一定以上の所得がある」場合では、納税が必要です。
上記の内容とやや重複していますが、たとえば1月1日以降に海外転出した場合であっても、この条件を満たしていなければそもそも住民税が発生しないということになります。
なお、住民税が非課税となるラインについては、自治体ごとに異なります。たとえば、東京23区で前年の総所得金額が45万円以下になる場合などが、「住民税(所得割・均等割)が非課税になるケース」にあたります。
海外からの納税に必要な「納税管理人」とは

海外転出後、日本で課税された住民税や所得税などを支払う必要がある場合は原則として納税管理人を決めておく必要があります。
納税管理人とは、簡単に言うと「税金関連の窓口」を担ってくれる役割の人です。本項目では、納税管理人のくわしい役割や指名の方法などを解説します。
日本に住所を有さない海外に在住の方で、納税義務者の方は納税管理人申告をして、納税管理人宛てで税金関連の書類を受け取る必要があります。
納税管理人の役割
納税管理人は、国外に転出した人の代わりに日本に残っている納税手続きなどをしてくれる、税金の代理人です。具体的には、以下のような処理をしてもらうために依頼することになります。
税務署からの書類を受け取る(住民税の通知、確定申告関係など)
本人の代わりに税金を納める(住民税、固定資産税、所得税など)
確定申告提出のサポート
なお、確定申告書の作成自体は本人か税理士しかできません。そのため、税理士以外が納税管理人となる場合は、確定申告書の「提出」のみが可能ということになります。
参考:国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任」
納税管理人になれる人の条件
「納税管理人が必要なのはわかったけど、頼める人がいなさそう……」とお悩みの方もいるでしょう。
実は、納税管理人は誰でもなることができます。たとえば、家族に納税管理人にお願いすることもできますし、友達でも良いというわけです。個人、法人も問いません。
もちろん、納税管理人は日本での納税や税務署からの書類の受け取りが役割のため、「日本に住んでいる人」である必要はあります。
それでも納税管理人の仕事をお願いする人がいない、知り合いなどに頼むのは気が引ける……という場合は、税理士などに依頼する選択肢もあります。MailMateでも納税管理人を代行するサービスを提供しているため、状況にあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
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納税管理人の申請方法
納税管理人を選定、申請するには、「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を記入して納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。納税管理人申告書提出方法としては、以下の2つがあります。
e-Tax で書類を作成して提出
書面で作成して窓口へ持参、または送付
提出のタイミングは、納税管理人を決めた時、または出国の日までです。納税管理人を解任する際にもこの手続きは必要となります。
参考: 国税庁「A1-7 所得税・消費税の納税管理人の選任届出又は解任届出手続」
海外転出と住民税に関するよくある質問

本項目では、海外転出と住民税について寄せられる、よくある質問と回答を紹介しています。
1月2日に海外赴任した場合、住民税はどうなるの?
住民税の納税が必要です。
1月2日に国外転出届を提出し、海外赴任をした場合は、その年の住民税の支払いが必要になります。住民税は、1月1日時点で日本に住民票がある場合に発生します。
つまり、1月2日の転出では当然住民税が課税されますが、その前日の1月1日に海外転出をしたとしても、課税されるということです。節税したい場合は、さらに前日の12月31日には海外転出している必要があります。
「1月1日時点で住民税がある場合」というと「1月1日に海外転出すればいいの?」と考えてしまうケースもあるためややこしいのですが、この点には注意が必要です。
海外転出した場合、住民税はいつまで払うの?
海外転出し非居住者となったタイミングによって、住民税をいつまで納付しなければならないかは異なります。
たとえば2025年1月中に海外転出した場合、1月1日にはまだ日本に住民票があったことになるため、2025年分の住民税(2024年の所得に対して課税)の納付が必要です。その年の住民税については、6月ごろに納付が始まるため、納税管理人に納税を依頼するなどで支払う必要があります。
翌年も海外転出したままということであれば、2026年の1月1日には日本に住民票がないため、住民税は納付不要です。
一方で、2024年の12月31日までに海外転出していれば、2024年分の住民税(2023年の所得に対して課税)のみ支払えばよい、つまり、2024年12月末まで払うということになります。
海外赴任した場合、妻(家族)の住民税はどうなるの?
海外赴任で海外転出した方の配偶者など、家族の住民税については、「その家族が日本に住民票を残しているかどうか」で扱いが異なります。
住民票が課税される条件は家族であっても変わらないので、海外転出していれば非居住者となったタイミングによっては住民税の支払いが生じます。
家族が日本に残るという場合は、居住者であるため所得に応じて通常通り住民税の納付が必要です。
海外転出届を出し忘れたら、住民税はどうなる?
住民税の支払いが必要です。
海外転出届を出し忘れると、日本の居住者扱いとなり住民税が引き続き課税されます。その他にも、本来支払わずに済んだ年金、健康保険料などの支払い義務が発生し続けるなど、デメリットが多いため注意が必要です。
出し忘れてしまった、という場合は、早めに自治体に連絡し、申請の方法などを確認するとよいでしょう。国外転出届の提出を忘れてしまうと、あとから期間中日本にいなかったことを証明しなければならないなど、手続きが手間になる可能性が高いです。
居住者と非居住者の違いは?
居住者と非居住者の違いは、日本に「住所」か「居所」を有するか否かで判断されます。
簡単に説明すると以下のようなイメージです。
居住者:日本に住所がある、もしくは日本に1年以上の居所がある
非居住者:それ以外(例:除票していて日本に住所がない、生活の本拠地も海外など)
住所や居所について複雑な判断が必要なケースでは、職業などをもとに住所の推定が行われ、これに基づいて税金などの有無が異なります。
1年未満の海外転出の場合、住民税はどうなる?
住民税の支払いが必要になります。
そもそも、海外での滞在が1年未満の場合は短期の滞在として扱われるため、海外転出の届出をする必要がありません。つまり、非居住者となることはないため、日本の居住者として住民税が課せられるということになります。
納付方法は「普通徴収」か「特別徴収」か?
住民税の納付方法には、「普通徴収(個人で納付書を使って支払う方法)」と、「特別徴収(勤務先が給与から天引きして納付する方法)」の2種類があります。
海外転出後に勤務先との雇用関係が終了した場合、通常は普通徴収に切り替わるので確認が必要です。納付書は原則として、本人または納税管理人に対して郵送されるため、納税管理人の選任が特に重要となります。
海外転出後、住民税を払わないとどうなる?
住民税の延滞となり、督促状などが発行される可能性があります。
国外転出後、納税義務者なのにもかかわらず支払わない場合は、公示送達後に延滞金が加算されるなどのペナルティが発生することも考えられるため、注意が必要です。
この時に納税管理人申告をしていないと、納税通知書を送付できないため、知らず知らずのうちに延滞金が発生していたということもあり得ます。
海外転出後に個人住民税の手続きが必要になることを考え、納税管理人は申請しておくのがおすすめです。
納付済か確認したい場合の手順は?
「自分の住民税が納付済かどうか確認したい」という場合は、まず居住地の市区町村に問い合わせるのが確実です。オンラインで確認できる自治体もありますが、ページの「更新日」に注意し、情報が最新かどうかもチェックしましょう。納税済みであれば証明書を発行してもらえる場合もあります。特に海外転出後は、記録の保管や証明書の取得が必要になる場面もあるため、デジタル管理サービスの活用もおすすめです。
住民税・海外転出まとめ

海外転出を届け出たタイミングによって、その年度の住民税の支払いが必要になるかが決まります。
1月1日以降に提出した場合は、その年の住民税が発生するため、納税が必要です。このような場合は、出国までに納税管理人を選定し、申請しておくとスムーズになります。
住民税は、「個人納付(納税義務者)」に対して課されるものであり、単に海外に出たからといって自動的に免除されるわけではありません。国外転出したとしても、税務上の手続きが適切でなければ、予期せぬ納付義務や延滞が生じる可能性もあります。
「転出しても安心」と思わず、市区町村や税務署への申告・届出をしっかり行い、必要に応じて納税管理人を設定するなどして、スムーズな納税・手続き管理を心がけましょう。
仕事の関係などで税金の有無などの判断が難しい場合は、国税庁などの機関に問い合わせるのがおすすめです。
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