【海外転出者必見】非居住者も確定申告すべき?必要な手続きを解説

「海外勤務が決まったけれど、税金手続きがよくわからない」
「非居住者になっても確定申告は必要なの?」
「海外から確定申告をする方法が知りたい」
こんな悩みをお持ちの方は、この記事を参考にしてください。
確定申告とは、1/1〜12/31の1年間で生じた所得から納税額の過不足を計算し、不足分を税務署に納付する、あるいは過払い分の還付を受ける手続きです。主な対象者は自営業者や副収入のある会社員ですが、海外に住んでいても対象となるのか気になる方もいますよね。
そこで本記事では、非居住者が確定申告をすべきかどうか、そして必要な手続きは何か解説します。1年以上海外に滞在する予定の方は、早めに準備を始めましょう。
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非居住者でも確定申告が必要な場合はある!

日本企業の多くは給与から源泉所得税を天引きし、国に納付しています。さらに年末調整で所得税額を計算し、追加徴収・還付を行っています。そのため一部を除いて、給与所得者自身が確定申告を行うケースは多くありません。
まして日本に住んでいなければ、日本の税金を支払う義務はないと感じる方も多いでしょう。ところが状況によっては、日本に住んでいない非居住者も納税義務者として扱われます。知らずに未納のままでいると、本来払うべき税額に加えて加算税や延滞税などが追加される可能性もあるため、注意が必要です。
非居住者とは?居住者との違いは生活の本拠がどこにあるか
所得税法によると、「居住者」の条件は以下のいずれかを満たすこととされています。
日本国内に住所を有する
1年以上居所を有している
「住所」は家や仕事、家族などがある生活の本拠を指し、「居所」は本拠とはいえないものの、実際に住んでいる場所を指します。そのため海外勤務者であっても、1年の半分以上を日本で家族と共に生活していれば、居住者として扱われる可能性が高いでしょう。
反対に「非居住者」とは、この条件に当てはまらない方のこと。たとえば日本国内に住所のない方や、1年以上海外赴任をしていて帰国は年に数回程度という方は、非居住者として扱われます。居住者と非居住者の違いは「生活の本拠がどこにあるか」だと考えるとわかりやすいですね。
国内源泉所得が生じたら確定申告すべき
非居住者に確定申告の義務が生まれるのは、国内源泉所得が生じた時です。国内源泉所得とは日本で発生した所得のことで、たとえば以下の所得が含まれます。
国内の土地や建物の売却益
日本の国債や地方債などの利息
国内の不動産を貸与して得た家賃 ほか
つまり「海外に住んでいるが日本の国債を所有し、利息を受け取っている」「海外赴任の間、自宅を知人に格安で貸している」などの国内源泉所得が生じるケースでは、確定申告をしなければなりません。
参考:No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)|国税庁
👉関連記事:海外赴任中の持ち家はどうする?3つの対応と利点・注意点を解説
恒久的施設(PE)がある場合はPE課税も発生する
国内源泉所得の一つに、「国内の恒久的施設を用いて出した利益」があります。恒久的施設とは法人が他国に置く事業拠点のことで、PE(Permanent Establishment)と呼ばれることも多いです。外国企業が持つ日本の支店や工場、1年以上の建設作業、代理人などがこれに当たります。
そしてPEを通じて得た所得は、国内源泉所得に含まれるため課税の対象となります。つまり法人税の確定申告をしなければなりません。
一方で「PEなければ課税なし」という原則もあります。これはたとえ事業所得が発生しても、PEが存在しないなら課税の対象にはならないということ。法人税を扱う場合には、PEの有無が重要なのです。
参考:No.2882 恒久的施設(PE)(平成29年から平成30年分)|国税庁
【非居住者】確定申告が必要なケース・必要ないケース

さまざまな基準があるものの、確定申告が必要かどうかを自分で判断するのは難しいかもしれません。そこで3つのケースを例として、確定申告するべきかどうか考えていきます。
ケース1)海外移住が決まったため自宅を売却した
海外移住に伴って、自宅の売却を考える方もいるでしょう。この売却益は譲渡所得とみなされるため、確定申告の対象となります。
また原則として、譲渡対価の10.21%が源泉徴収される点にも注意してください。例外となるのは、譲渡対価が1億円以下かつ購入者が自分で、あるいは親族を住まわせるために購入した場合。この時は源泉徴収の必要はなくなります。
参考:No.1932 海外勤務中に不動産を売却した場合|国税庁
ケース2)海外で日本人向けのブログを運営してアフィリエイト収入を得た
アフィリエイターがブログなどに企業広告を掲載し、そのクリック数等に応じて得る報酬をアフィリエイト収入といいます。パソコン1つで作業できるため、海外でアフィリエイトを行う方も多いです。
非居住者が日本人向けのアフィリエイトブログで報酬を得る場合、国内源泉所得に該当するように感じるかもしれません。ただしほとんどの場合、アフィリエイトではPEを必要としませんし、「PEなければ課税なし」の原則があります。そのため基本的に納税義務は発生せず、確定申告も不要となります。
とはいえアフィリエイトは比較的新しい業務形態なので、国税庁も明確な指針を出していません。不安な方は、専門家に相談するとよいでしょう。
ケース3)海外滞在期間が短いため日本に住民票を残している
海外滞在期間が1年以内であれば、日本に住民票を残しておくことが可能です。一方で住民票が残っていると日本の「居住者」として判断されるため、国内源泉所得に限らずすべての所得に対して納税義務が生じます。もちろん必要に応じて、確定申告もしなければなりません。
また1月1日時点で日本の居住者となっていれば、住民税も支払う必要があります。
非居住者の確定申告には納税管理人が必要

確定申告の期間は、翌年の2月中旬〜3月中旬です。たとえば令和6年分の確定申告は、令和7年の2月17日〜3月17日に行われました。
非居住者自身が税務署で確定申告を行うには、この期間に帰国しなければなりません。とはいえ実際は、帰国のタイミングがとれない場合も多いでしょう。
そんな時には、納税管理人に依頼して確定申告を行うのが一般的です。
納税手続きを代行するのが納税管理人
納税管理人とは、納税義務者に代わって納税手続きを行う人物のこと。確定申告の必要がある非居住者にとって、重要な存在といえます。
納税管理人になるには、特定の資格や知識は必要ありません。日本に住んでいるのであれば、家族や知人などを選定することも可能です。ただ、なるべく非居住者が納税すべき税務署のエリア内に住んでいる人を選ぶようにしてください。
また納税管理人が納税手続きを代行するためには、事前に届出を提出しておかなければなりません。出国前には届出を完了しておかないと、その後の手続きがスムーズに進まないため注意しましょう。
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納税管理人届出書の提出方法
納税管理人が決まったら、税務署に納税管理人の届出を行います。必要となる書類は「所得税・消費税の納税管理人の選任届出書」。こちらは国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署で受け取ります。

引用:所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書(国税庁)
届出書は、以下いずれかの方法で提出してください。
e-Tax
郵送
税務署窓口
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を選びましょう。
e-Taxは家にいながら手続きが完了する
e-Taxを使えば自宅で手続きが完了するため、忙しい方にも便利です。紙の届出書をダウンロードする必要がありませんし、本人確認書類の提出や添付も不要です。
ただし事前にe-Taxソフトをインストールし、利用者識別番号や電子証明書を取得しておかねばならないため、準備に手間がかかります。すでにe-Taxを利用したことのある方、今後もe-Taxを利用する予定のある方にはおすすめです。
郵送・窓口での手続きには本人確認書類が必要
郵送で提出する場合は、事前に国税庁のホームページから届出書をダウンロードしておきましょう。裏面の書き方を見ながら書類を記入し、本人確認書類のコピーを添付してからポストに投函してください。
届出書の書き方がわからない方や不安な方は、税務署窓口で手続きするのもよいですね。スタッフに直接質問できるため、ミスなく手続きを終えられます。窓口でも本人確認書類の提示が求められるので、忘れずに持参してください。
また税務署の開庁時間は、平日の8:30〜17:00です。時間外に提出する場合は、税務署の時間外収受箱に投函することになります。
納税管理人の役割
納税管理人は、主に以下の役割を担います。
税務署から届いた書類を受け取る
非居住者に代わって納税する
確定申告書の提出をサポートする
納税管理人には特別な資格がいらないとはいえ、税務署から届く書類は重要なものが多いため、スムーズかつ適切な対応が必要です。また確定申告書を作成・提出する必要もあるので、ある程度税金に関する知識を持っていると安心でしょう。
そのほか、還付金がある場合はその受け取り手続きを行う、税務調査が入る場合はその対応をするなど、担う業務は多いです。
非居住者の確定申告に関するQ&A

ここでは、非居住者の確定申告に関してよくある疑問に回答していきます。
Q1)非居住者は確定申告にマイナンバーを利用できるか
以前は海外転出の際に、マイナンバーカードは無効化されていました。帰国後に再手続きをしないと、マイナンバーの利用もできなかったのです。
ところが2024年5月27日からは制度が変わり、必要な手続きを踏めば海外でもマイナンバーカードの継続利用ができるようになりました。そのためe-taxを利用して確定申告を行うことも可能です。
ただしe-taxの利用には、さまざまな事前準備が必要です。たとえば利用者識別番号の取得は、日本にいなければ行うことができません。海外からマイナンバーを利用した確定申告は可能なものの、出国前の準備が重要です。
参考:マイナンバーカードを国外で利用する – マイナンバーカード総合サイト
Q2)非居住者の確定申告はどこの税務署で行うのか
確定申告書の提出先は、基本的に納税地を管轄する税務署長です。納税地は住所や居所を指すため、たとえば渋谷区に住んでいれば管轄は渋谷税務署ですし、豊島区に住んでいれば管轄が豊島税務署となります。
一方で非居住者の場合は、いくつかのパターンがあります。まず、家族がそのまま住んでいるなど帰国時に暮らす場所があるなら、そこが納税地です。家賃などの不動産所得が発生しているなら、その不動産がある場所が納税地となります。どちらも該当しなければ、前年と同じ税務署に提出しましょう。
Q3)非居住者が確定申告しないとどうなるのか
非居住者に納税義務がある場合、確定申告をしないと無申告加算税や延滞税などが追加される恐れがあります。確定申告すべきかどうかわからない方は、24時間利用できる国税庁のチャットボット(ふたば)を使って確認しておくと安心ですよ。

納税手続きをスムーズにするサービス
「海外から自分で税金の手続きをするのが大変」「周りに納税管理人を頼める人物がいない」という方は、外部サービスを利用するのがおすすめです。専門家が対応してくれるので、安心感も高いでしょう。
ここではメールメイトの納税管理人サービスをご紹介します。
メールメイトの納税管理人+国内連絡先登録サービス

メールメイトには、納税管理人&国内連絡先サービスがあります。これはメールメイトが代理人となり、非居住者に代わって書類の受け取りや納税手続きを行うもの。固定資産税など請求書の支払いも代行できます。
また非居住者は海外転出時に住民票の登録が消えており、国内に住所がない状態です。メールメイトを使えば国内連絡先としてメールメイトの住所を登録できるため、書類申請などにも使えます。
クラウド私書箱を使えば郵便物も管理できる
海外に住んでいると、郵便物の管理も悩みの一つ。日本に家族がいれば代理受取も可能ですが、なかには家族には見られたくない郵便物もあるかもしれません。家族がおらず空き家になっている場合、あるいは家を処分した場合は、郵便物が手元に届かない可能性もあります。
そんな時はメールメイトのクラウド私書箱サービスが役立ちます。メールメイトの住所宛に届いた郵便物はデータ化され、クラウド上にアップロードされるため、海外にいてもスマホやパソコンから確認できます。必要に応じて原本の転送も可能です。
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確定申告が必要な非居住者は出国前に納税管理人を選出しよう
本記事では、非居住者の確定申告の必要性や求められる手続き、納税管理人について解説しました。非居住者となった場合は、状況によっては確定申告をしなければなりません。その時に慌てず手続きを進めるためには、納税管理人を選出しておくことが大切です。
ただ、納税管理人は税金に関するさまざまな役割を担います。ある程度の税知識が求められるため、周囲に適任者がいない場合もあるでしょう。
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