開業届の書き方と必要書類をわかりやすく解説【個人事業主の開業ガイド2023】
個人事業主として独立するときには、税務署へ「開業届」を提出しなければなりません。
「開業届以外の必要書類は?」「どのように書けば良いのかわからない!」という方も多いでしょう。
この記事では開業届の書き方や開業届のメリット、個人事業主になる場合の注意点などについて詳しく解説します。
これから開業届を出して独立しようとしている方はぜひ参考にしてみてください。
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1.開業届とは
開業届とは、個人事業の開業を税務署に報告するための書類です。
正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
個人事業として新しく事業を開始したら、毎年確定申告を行って税務署へ所得税の申告と納付をしなければなりません。その準備として、税務署や都道府県税事務所へ開業届を出す必要があるのです。
個人事業主で開業届を出さないとどうなる?
開業届とは、事業を始めた日から1ヶ月以内に税務署への提出が義務付けられていますが、もし開業届を提出しない場合でも罰則はありません。しかし、その場合は青色申告を行うことができません。
(いくら稼いだら開業届?)
副業ではなく事業として月平均で4万以上の収入を得ている場合は開業をした方が良いでしょう。
理由は、48万円が基礎控除であるため収入が48万円以下の人は確定申告の義務がないためです。
参考:基礎控除
2.開業届には2種類がある
個人事業に関しては、2種類の開業届があります。一般的な開業届とは個人事業の開業・廃業等届出書を指します。
1)個人事業の開業・廃業等届出書:個人事業主として新たに事業を始めた時や事業を廃止した時、事業所の新設、移転、増設などの際に提出する
2)個人事業税の事業開始等申告書:もう1つは、事業を開始したことを通知するため都道府県税事務所へ提出する
どちらも届出をしなくても罰則はありません。
2-1.個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
税務署へ提出する開業届は、開業後1か月以内に管轄の税務署へ提出しなければなりません。書式は国税庁のHPからダウンロードできますし、税務署で交付してもらうことも可能です。
青色申告を利用する場合、所得税の青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。
2-2.個人事業税の事業開始等申告書
引用:【個人事業税】個人事業税に係る開業等報告(ふくおか電子申請サービス)
個人事業税の事業開始等申告書は、都道府県税事務所へ提出する開業報告の書類です。
提出期限は都道府県によって異なるので、個別に確認しましょう。
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3.開業届の書き方
税務署に提出する開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の書き方をみてみましょう。
3-1.税務署名を書く
まずは提出先の税務署名を記入します。
3-2.提出日を書く
開業届の提出日を記入します。
3-3.納税地を書く
納税地の欄には、住所地または事業所のある場所、居所のいずれかを記入します。
納税地以外に住所や事業所がある場合、その下の段に記入しましょう。
一般的に納税地は住所地となりますが、「納税地の特例」の場合は事業所の住所または居所を納税地とすることができます。
参考:納税地の特例
3-4.氏名を書く
氏名とふりがなを書きましょう。
3-5.個人番号を書く
開業届には個人番号(マイナンバー)を書かねばなりません。事前にマイナンバーカードなどを用意して、間違いないように記載しましょう。
3-6.職業と屋号を書く
職業や屋号を記入します。屋号がなければその欄は空けておいてもかまいません。
3-7.届出の区分を書く
届出の区分は「開業」を選びます。事務所や事業所を新設した場合「新設」をチェックしましょう。
3-8.所得の種類を書く
所得の種類を書きます。不動産所得、山林所得、事業所得(農業所得)の3種類があります。
3-9.開業日を書く
開業日を書きましょう。開業日は、事業を開始した日になります。
個人事業主の場合、事業を開始した日を自ら開業日とします。
一方、法人の場合は、設立日が開業日になります。
3-10.課税事業者選択届出書や青色申告承認申請書の提出の有無を書く
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無を書きます。開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出する場合には「有」をチェックしましょう。
3-11.事業の概要を書く
事業の概要を書きます。
3-12.給与支払い状況を書く
従業員がいて給料を支払っている場合、その支払い状況を記入しましょう。
源泉徴収税の納期の特例の承認を受ける場合には申請書提出の欄で「有」を選択します。給与支払いを開始する年月日も記入します。従業員がいない場合には空欄にしておきましょう。
4.自宅の住所を使用したくない場合
個人事業を開業する際、バーチャルオフィスやバーチャル私書箱の住所も開業届に利用できます。バーチャルオフィス等で契約したい方は、開業届の納税地欄にバーチャルオフィス等の住所を書くと良いでしょう。
4-1.バーチャルオフィスのメリット3つ
1. 実際の事務所が不要になり大幅な初期費用、運営費用削減
2. 早期に開業できる
3. 自宅の住所を公開しなくていい
4-2.バーチャルオフィスのデメリット3つ
1. 利用者と住所が重複し顧客から不信感を持たれる可能性も
2. 業種によってはバーチャルオフィスを利用できない
3. 郵便物への対応が遅くなる
詳しくは、バーチャルオフィス デメリット3つ解説!開業費用を削減したい人必見をご覧ください。
4-3.スタートアップ向けクラウド郵便で起業する
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5.開業届の提出方法
5-1.開業届の提出先
開業届が完成したら、管轄する税務署へ提出しなければなりません。提出期限は開業後1か月以内なので、遅れないようにしましょう。
以下では3種類の提出方法をお伝えします。
5-2.窓口で提出する
税務署の窓口での受付日時は平日8:30~17:00で、土日祝は閉庁日です。
開庁時間に開業届を持参して提出しましょう。
5-3.郵送
郵送でも開業届の提出が受け付けられています。郵送する場合には開業届の控えを同封して、受付印を押印して返送してもらいましょう。
5-4.e-Tax
開業届とはe-Taxでも提出できます。
e-Taxで開業届の提出をした場合、メッセージボックスへ「データを受け付けました」と記載されたメッセージが届きます。これが税務署の受付印の代わりになるので、メッセージを印刷して保管しましょう。
なお、e-Taxの利用を始める場合e-Taxの開始(変更等)届出書をWEB上で作成・送信し利用識別番号と暗証番号を取得しましょう。
6.開業届の提出には何が必要?
開業届の提出に必要な書類は、「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用)」と「開業・廃業等届出書(控用)」の2枚です。国税庁のHPからダウンロードすれば間違いないでしょう。
また個人事業の開業・廃業等届出書にはマイナンバーを記載しなければなりません。
窓口で提出する場合、間違いのないようにマイナンバーカードを持っていくと良いでしょう。
なお令和3年度の税制改正によって個人事業の開業・廃業等届出書に押印は不要となったため、印鑑は持参する必要がありません。
マイナンバーカードがない場合
マイナンバーカードがない場合、免許証などの本人確認書類と以下の書類のいずれかを持参しましょう。
マイナンバー通知カードの写し
マイナンバーの記載がある住民票の写し
マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書
7. 開業届の控えの受け取り方法
開業届の控えは、e-Taxか紙で申請するかによって受け取り方が違います。
7-1. 紙で申請する場合
開業届を税務署に提出する場合、控えも記入して持って行き印鑑をもらいましょう。
郵送の場合は開業届の控えと返送用の封筒を入れることで控えを受け取ることができます。
開業届の控えは、開業届と同じく国税庁のホームページよりダウンロードすることができます。
7-2. e-Taxで申請する場合
e-Taxで申請する場合は、開業届の控えをもらうことができません。
その代わり、メッセージボックスに「受信通知」が届き、開業届の情報を受け取ることができます。
一定期間を過ぎると受信通知は削除されますので、その前にコピーをとっておきましょう。
また、開業届のデータを保存してプリントアウトしておくことも必要です。
8.個人事業主が開業届を提出するメリットとは
個人事業主が開業届を出すと、以下のようなメリットがあります。
8-1.青色申告ができる
所得税の青色申告承認申請書の提出にはさまざまなメリットがあります。
青色申告とは、一定要件を満たす個人事業主が「青色申告承認申請書」を税務署に提出することによって優遇措置を受けられる制度です。
たとえば青色申告をすると、最高65万円の税額の控除を受けられます。
青色申告事業者になるには、税務署へ青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
青色申告承認申請書を提出しない場合、自動的に「白色申告事業者」となって税金の優遇措置は受けられません。
開業届の提出をすることで青色申告承認申請書を受け付けてもらえます。つまり開業届と青色申告承認申請を出すことで税制優遇を受けられるメリットがあるといえるでしょう。
おすすめ記事:請求書の書き方を解説!個人から会社へ発行する際のポイントは?
7-2.青色申告のやり方
青色申告をするために、開業届と青色申告承認申請書を提出しましょう。
所得税の青色申告承認申請書をダウンロードする
国税庁のホームページより「所得税の青色申告承認申請手続き」ページから「所得税の青色申告承認申請書」をダウンロードします。
(国税庁のホームページはこちら)
複式簿記をつける
青色申告を行うには、確定申告書に所定の帳簿を備えるける必要があります。
そのため、日々の経済活動の内容(収支内訳、消費税の計算、固定資産の取得や異動など)を毎日複式簿記で記録していきましょう。
確定申告をする
確定申告書と帳簿書類を期日までに税務署へ提出することで、青色申告特別控除として最高55万円の控除が可能です。
さらに、確定申告及び帳簿を電磁的記録により保存を行いe-taxを使い申告した場合は、青色申告特別控除として最高65万円の控除が可能になります。
確定申告で提出した帳簿書類の保存
青色申告承認申請書の備え付けの帳簿や作成に用いた書類、受領した書類などを確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
参考:帳簿書類等の保存期間(国税庁)
7-3.青色申告をすることのメリット3つ
1.) 青色申告特別控除
事業所得や不動産所得を得る事業者で青色申告をしている方で、複式簿記にて記帳している方は貸借対照表及び損益計算書を確定申告に添付し、確定申告の期限(毎年2月16日から3月15日)までに提出する場合は事業所得などから最高55万円を控除することができます。
また、上記の条件を満たした上で確定申告の電子申請を行う又は電子帳簿保存法の要件を満たし電磁的記録により保存を行っている場合、最高65万円の控除が可能です。
さらに、複式簿記でなく簡易な帳簿での記帳の場合でも最高10万円の控除を受けることができます。
2.) 配偶者等に支払う給与を必要経費とできる
青色事業専従者給与とは、生計を一にする配偶者や親族で青色申告者の営む事業に従事している人に給与を払っている場合、その支払った給与のうち相当であると認められる金額を必要経費にすることが可能です。
青色事業専従者給与の必要経費算入を受けるためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を国税庁のホームページよりダウンロード、所管税務署に提出する必要があります。
ダウンロードはこちらから:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続
3. )赤字を前年や翌年の所得金額から差し引くことができる
青色申告を行っている方は、事業からの純損失金額を、翌年以降3年間にわたって、年々の所得金額から差し引くことができます(純損失の繰越) 。また、前年にも青色申告を行っている場合は、繰越せずに前年の所得金額に損失額を加算し、前年の所得税を戻ってもらうこともできます(純損失の繰戻し)。
また、純損失の繰戻しを受け取るためには、損失が発生した年の確定申告書を締め切りまでに提出する必要があります。
おすすめ記事:【無料】フリーランス向け請求書テンプレート5選|作成方法も解説
7-4.屋号で銀行口座を開設できる
開業届を提出すると、屋号でも銀行口座を開設できるようになります。
屋号とは「○○商店」や「オフィス○○」のような、個人事業主がビジネス利用するための名称をいいます。
銀行で屋号名つきの口座を開設するには、開業届などの税務関係書類が必要です。
つまり開業届を提出すると、自分のフルネームの口座とは別に屋号付きのビジネス用口座を開設できるメリットがあるといえるでしょう。
屋号つき銀行口座を開設する場合の注意点
屋号つきの銀行口座を開設する場合、本人確認書類や開業届だけではなく事業内容を確認できる書類の提示などを求められる可能性もあります。個人口座に比べると開設に手間や時間がかかるケースが多いので、口座を作りたい場合には早めに対応するのが良いでしょう。
また法人名義の口座と違い、個人事業主の屋号名つき口座には対応していない銀行もあります。屋号名対の口座を開設したい場合には、まずは屋号付き口座に対応している銀行を選定しましょう。
7-5.オフィス契約や融資の審査で有利になる
個人事業主が事業を行うに際しては、実際のオフィスを契約する場合も少なくありません。その際、まったくの個人が営業しているよりもきちんと開業届を提出して営業している個人の方が、信用性は高くなります。
また創業融資などの融資を検討するケースもあるでしょう。開業届を提出している方が信用も高まるので、不動産賃貸借契約や融資などの審査で有利になる可能性があります。
そもそも審査の際に開業届などの税務関係書類の提示を求められるケースが少なく有りません。
7-6.クレジットカードの法人カードを作成できる
一般の個人はクレジットカードの法人カードを作れません。
一方、個人事業の開業届を出して営業性個人であることを証明できれば、法人カードを作れるカード会社もあります。
7-7.職業を証明できる
開業届は、個人事業主が自分の職業を証明する書類としても使えます。
個人事業主やフリーランスの場合、会社員と違って社員証や在職証明書などによって職業の証明ができません。開業届の控えがあれば、職業の証明が必要な際にも困らないメリットがあるといえるでしょう。
8.開業届を提出して個人事業主になる場合の注意点
開業届を提出して個人事業主になる場合、以下のような点に注意しましょう。
8-1.所得が一定以上の場合、確定申告が必要
個人事業主として所得がある以上、基本的に毎年確定申告をする必要があります。
申告と納付をしなければ、不申告加算税などのペナルティを課される可能性もあります。
必ず毎年2月16日~3月15日までの提出期間内に確定申告書を提出して、税の納付まで行いましょう。
ただし所得が一定以下であれば確定申告が不要な場合もあります。
8-2.失業手当が打ち切られる可能性がある
失業保険受給中の方が開業届を提出すると、失業保険は打ち切りになります。
失業保険はあくまで「失業している求職者」に支払われる給付だからです。
ただし要件を満たしていれば開業時に雇用保険から「再就職手当」を受け取れる可能性もあります。また2022年7月1日から開始された「事業開始等による受給期間の特例」により、要件を満たせば休廃業時に失業保険を受給できるケースもあります。
失業保険についてわからないことがあれば、ハローワークへ相談してみてください。
8-3.配偶者の扶養に入っている場合から外れる可能性も
配偶者の扶養に入っている場合、個人事業による収入が一定額を超えると扶養から外されてしまいます。具体的には、税務上の配偶者控除や健康保険における扶養を受けられなくなる可能性があるので要注意です。健康保険の扶養を外れると、自分で国民健康保険へ加入者なければなりません。
現在配偶者控除を受けている方や健康保険の扶養に入っている場合、開業届を提出して自分の所得を得るようになったときに扶養を外れる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
個人事業主となって独立したら、開業後1か月以内に開業届を税務署に提出しましょう。
開業届を提出するとさまざまなメリットもあるので、早めの作成がおすすめです。
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