バーチャルオフィスでも融資は受けられる?種類やポイントを徹底解説

最終更新: November 5th, 2024
バーチャルオフィスでも融資は受けられる?種類やポイントを徹底解説

近年、企業や事業拡大を目指す方々を中心に、物理的なオフィスを構えずにコストを最小限に抑えることができる『バーチャルオフィス』が注目されています。

低コストで柔軟な働き方が可能なバーチャルオフィスですが、融資を受ける場合には、実際のオフィスを持つ場合とは異なる点があります。

『バーチャルオフィスを使って起業を考えているけど、融資って通るのかな?』

『マイナス評価を受けて審査落ちたりするのかな‥』

この記事では、バーチャルオフィスを利用している事業者が融資を受けることができるかについて詳しく解説していきます。

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バーチャルオフィスで融資を受けることができる?

バーチャルオフィスで融資を受けることができる?

まず、あなたが一番気になっている『バーチャルオフィスで融資は受けられるか?』の回答をします。

結論として、融資を受けることは十分可能です。バーチャルオフィスが理由で融資が受けられないといったことはありませんが、注意が必要な点があります。

銀行口座の開設が可能か確認する

融資を受けるためには、まず「融資元の銀行口座を保有していること」が大前提です。たとえば、A銀行の融資を受けようと思ったらA銀行の銀行口座が必須です。そのため、ご自身の会社が銀行口座を開設できるのか事前に確認しましょう。

『口座の開設くらい簡単だろう』

『色んな銀行の法人口座を作れば、たくさんの融資が受けられるのでは?』

このような認識を持っている方もいるかもしれませんが、残念ながらそううまくはいきません。銀行口座を開設するには一定の審査があり、審査をクリアしなければ口座の開設はできないのです。

特にバーチャルオフィスは、事業の実態が可視化しにくいことや不正や犯罪に利用されるリスクが高いと判断されやすいことから、法人口座開設の難易度が上がります。

そのため、バーチャルオフィスで法人口座開設を考えている場合は、法人登記ができるかどうか、バーチャルオフィス契約時の審査をしっかり実施しているかなど信頼性の高いサービスを選ぶことが大切です。

バーチャルオフィス利用者が受けられる融資にはどんな種類がある?

バーチャルオフィス利用者が受けられる融資にはどんな種類がある?

先ほどバーチャルオフィスでも融資は可能と述べましたが、実際にどんな種類があるか見ていきましょう。

主体

融資の通りやすさ

融資金額(上限)

日本政策金融公庫

7,200万円

民間金融機関

※それぞれ異なる

地方自治体

3,500万円

基本的に融資を受ける際、考えられる融資元は上記の3つです。簡単な比較表を作成しましたが、見てもらえればわかる通り、融資主体によって融資の受けやすさや融資金額はバラバラです。

融資を受ける際、どれが自社に合っているか検討したうえで融資申請をしましょう。

では、それぞれの融資主体の詳細を見ていきましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、財務省所管の政府系金融機関の内の一つであり、4つの組織が合併して誕生した会社です。

中小企業個人事業主向けの融資制度を提供しており、民間の金融機関と比べて創業して間もない企業や中小企業でも融資を受けやすいでしょう。資金調達に困ったときに真っ先に相談する機関といえます。

また、バーチャルオフィスを利用する事業者も対象となっているため、事業融資を受けたい方はまず検討すべき融資主体です。

2024年3月から融資制度に大きな変更

これまで創業融資として利用されていた多くの融資は『新創業融資制度』と『新規開業資金』を併用したものでした。しかし、今年に入り、融資制度に大きな変更がありました。

2024年3月に『新創業融資制度』が廃止となり、4月から『新規開業資金』一本(新創業融資制度の要素を含む)になりました。

インターネットで調べると、まだまだ制度変更前の情報が出てくるので、必ず日本政策金融公庫のHPより最新情報を確認してください。

参考:日本政策金融公庫HP

どう変わるのか

今年に入り制度が変更されたことはわかった。で、何が変わったの?

以下、制度変更前(2024年3月まで)と変更後(2024年4月以降)の変更点の表になります。

※制度変更前は新創業融資制度と新規開業資金を併用した場合

変更前

変更後

自己資金要件

創業時、創業融資総額の10分の1以上の自己資本があること

定め無し

融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

返済期間

設備資金:20年以内 運転資金:7年以内

設備資金:20年以内 運転資金:10年以内

変更点①自己資金要件の廃止

新創業融資制度と新規開業資金を併用して利用する場合、創業融資総額の10分の1以上の自己資本が必要でした。

今回の変更で、自己資本が用意できなくても融資に申し込みができるようになりました。極端な例を挙げると、資本がたとえ0円でも融資申し込みができます。(審査が通るかは別の話です。)

変更点②融資限度額の拡張

変更前と変更後で融資限度額が大きく拡大されました。倍以上も限度額が更新されたことにより、より大きなスケールで事業を始めることが可能になりました。

さらに驚くべきことに、新たに事業を始める方また事業開始後税務申告を2期終えていない方は、無担保・無利子による融資が可能になりました。これはかなりすごいことですよね。

変更点③返済期間の延長

「新規開業資金」では、運転資金が10年以内(うち据置期間5年以内)、設備資金が20年以内(うち据置期間5年以内)と、返済期間が延長されました。

返済期間が伸びることで、1回あたりの返済額の負担が軽減されます。これにより、長期的な返済計画が立てやすくなり、安定した売り上げを目指すための時間を確保しつつ、事業運営に専念できるメリットがあります。

制度変更の影響

ここまで読み進めていただいた方ならもうお分かりかと思いますが、この変更は創業者にとってかなりプラスになります。

近年のトレンドであるスモールビジネスの影響で、会社を設立する方は年々増加傾向にあります。そういった方たちにとってこの制度はスムーズに事業を軌道に乗せる大きな助け舟となるでしょう。

しかし、制度変更によって融資の審査が甘くなったわけではないことに注意してください。

融資の審査を突破するための準備について、記事の終盤で詳細を解説します。ぜひ最後まで目を通してください。

民間金融機関

バーチャルオフィスの融資を受けたいけど銀行や信用金庫でも融資受けられる?

結論、『銀行や支店ごと』に対応が異なります。

一昔前であれば、バーチャルオフィス?何それ、ちゃんと会社が物理的に存在しないところにお金は貸せないよ。という対応がほとんどでした。

しかし、近年のバーチャルオフィスの急速な浸透と一般化が進んだことにより、住所が原因で審査落ちする傾向は低くなりつつあります。

また、冒頭でも触れたように、金融機関で融資を受ける場合は基本的にその金融機関の口座が必要になります。

以下、民間企業ごとの表になります。

主体

口座開設のしやすさ

融資の通りやすさ

地方銀行

〇 ※銀行ごとに異なる

都市銀行

×

信用金庫

×

×

『そもそも口座すら開設できないところがあるのか‥』

『口座開設はできても融資が通りにくいところが多そう‥』

この表を見ていただくと、新規事業者への融資はなかなか難しいことがわかります

融資を受けられる希望があるのは地方銀行ですが、これも銀行によって『うちは中小企業の融資はしていません』、『バーチャルオフィス形態の企業への融資は前例がないため難しいです』といった具合に融資審査を通過するケースはあまり多くありません。

そのため、かなり入念な事業計画や返済計画の立案が必要になるでしょう。粘り強い対応が求められます。

こうした理由から、民間の金融機関はバーチャルオフィスでの融資には不向きといえるでしょう。

地方自治体

最後に紹介するのは、地方自治体の制度融資です。

制度融資とは、地方自治体、信用保証協会、金融機関の3つの機関が連携して実行する融資です。低金利で融資を受けやすい制度となっており、母体によって名称が変わります。たとえば、都道府県では「制度融資」、市区町村では「あっせん融資」と呼ばれます。

各自治体によって内容は異なりますが、地域経済の活性化を目的としているため、地元企業や新規事業に対する支援が充実しているのがポイントです。バーチャルオフィスを利用する事業者にとっても、有力な選択肢となるでしょう。

制度融資は地方自治体ごとに内容が異なるため、対象となる自治体のHPなどで制度の確認が必要です。

ここで、大阪府の制度融資の例を紹介します。

制度名

開業・スタートアップ応援資金(地域支援ネットワーク型)

融資対象

(事業を営んでいない方が)大阪府内で事業開始する場合、または事業開始後1年未満の場合

融資限度額

3,500万円

自己資金

事業開始前・事業開始後2か月未満の方は10分の1以上

融資利率

年1.2%(固定金利)

担保・連帯保証

原則不要(法人の場合、原則法人代表者のみ連帯保証)

参考:各種融資メニュー/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]

地方自治体の制度融資では、専門家や相談員と面談が必要な場合があり、この面談や調査を経て審査が進むため、融資実行までに時間がかかる点に注意が必要です。

また、バーチャルオフィスを融資対象外としている自治体もあり、市区町村によって方針が異なるため、あらかじめ会社所在地の市区町村に問い合わせてみると良いでしょう。

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融資以外の資金調達方法

融資以外の資金調達方法

『融資のハードルは少し高い気がしてきた』『融資以外の資金調達方法ないの?』

バーチャルオフィスを利用している事業者の場合、融資以外の資金調達方法も検討しておきたいところです。今回は厳選して4つの方法をご紹介します。

1. クラウドファンディング

クラウドファンディング‥インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する方法のこと。

特徴・魅力

近年、急速に広まった新しい資金調達方法の一つ。手軽さとインターネットを通じた情報の拡散力が魅力。

メリット

個人での資金調達のしやすさ、リスクが少ない、宣伝効果あり。

デメリット

資金が集まる保証無し。調達後のプロジェクトの遂行が必須。

クラウドファンディングには複数の資金調達方法と種類があるため、自身に合った方法を選ぶことが重要です。

2. ビジネスコンテスト

ビジコンと省略されてよく呼ばれていますね。

ビジネスコンテスト‥新規事業の立ち上げを目指す方などがビジネスアイデアを競うコンテストのこと。民間企業や大学など様々な団体によって開催される。

特徴・魅力

『書類審査』と『プレゼン審査』の2段階。入賞特典として賞金がもらえるケースが多い。また多様な企業支援を享受できる。

メリット

人脈形成、宣伝効果、アイデアのブラッシュアップ等

デメリット

倍率が高く、入賞の難易度が高い。

ビジネスアイデアを考える際の事業計画は、融資の申請の際にも大いに役に立つ可能性があります。ただ、開催が不定期であることと、賞金以外の利点を求める方が多く参加するため、資金調達目当ての参加はあまりおすすめできません。

それでも、資金調達以外のメリットがかなり大きいので、挑戦してみる価値はあると思います。

3. エンジェル投資家

エンジェル投資家‥起業直後の事業者に対して出資を行う個人投資家のこと。実績がなく資金調達が難しい時期に支援をしてくれる天使のような存在からその名がついたといわれています。

特徴・魅力

エンジェル投資家が出資する目的

・出資の見返りで株式を取得し将来的にキャピタルゲインを得る

・エンジェル税制による節税効果

・起業家の応援 など

メリット

返済義務なし。出資までのスピードが速い。人脈の拡大にも〇

デメリット

大規模な出資は少ない。経営への介入で自由度低下の恐れがある。

エンジェル投資家から資金調達を行う場合は、出資額以外の要素をきちんと確認しましょう。

具体的には、株式の持ち分比率や経営への介入具合などを前もってすり合わせしておくとよいです。また、1対1の関係性から人としての相性や今後の付き合い方なども考慮して判断していく必要があります。

4. 補助金・助成金

補助金・助成金とは、直接的、間接的に政府が公益上必要と判断した場合に、民間もしくは政府に対して交付される給付金です。

基本的に返済不要な資金なのでぜひとも活用したいところです。

特徴・魅力

創業時に利用できる補助金・助成金の種類は大きく3つ

・経済産業省系列

・厚生労働省系列

・自治体独自のもの

メリット

原則返済不要

デメリット

基本的に後払い。前払いでほしい場合は他の資金調達方法を利用しなければいけない。

さまざまな種類があり、必要な書類や提出のタイミングがバラバラなので、自身できちんと調べて該当しそうなものに応募してみてください。

以下、それぞれ参考になりそうなリンクになります。

創業時に利用可能な補助金の種類:経済産業省厚生労働省自治体独自(例:大阪)

基本的に申請条件が厳しく競争率も高いため、十分な準備が必要になります。

国や地方自治体、民間団体が提供する補助金や助成金の活用も検討すべきです。バーチャルオフィス利用者にとってのメリットは:

  • 返済不要: 融資と異なり、返済の必要がない

  • 信用力向上: 補助金獲得実績が、将来の融資審査でプラスに働く可能性がある

  • 事業計画の磨き上げ: 申請過程で事業計画を改善できる

ただし、申請条件が厳しく、競争率も高いため、十分な準備が必要です。

融資審査通過のポイント4つ

融資審査通過のポイント4つ

これまでいくつか代表的な融資を紹介しました。いずれもバーチャルオフィスが理由で融資を断られるケースは少なく、十分に融資を受けることが可能であることを理解いただけたと思います。

次にバーチャルオフィスを利用する事業者が融資の審査の通過しやすくするためのポイントを紹介します。

ポイント1. しっかりとした事業計画書の作成

事業計画書は、事業概要や資金調達の方法などをまとめたもので、融資を受けるにあたり重要な書類の一つです。金融機関の担当者が融資をするかどうか判断するための材料となるため、実現可能性の高い説得力のある計画書を作成することが非常に重要です。

主な項目は以下の通りです。

  • 創業の動機: 事業に対する熱意やビジョン、創業者の経歴 など

  • 事業内容: 商品やサービスの詳細、販売戦略 など

  • 資金計画: 借入状況、資金調達方法 など

  • 収支計画: 創業当初・軌道に乗ってからの売上高予測、返済計画 など

また事業計画書をまとめることで事業のイメージや創業するためにやるべきことが明確になるというメリットもあります。

日本政策金融公庫や自治体によっては相談窓口が設けられているので、融資を受ける際には事前に相談してみてはいかがでしょうか。

ポイント2. 自己資金の準備

融資を受ける際は、自己資金の準備も重要なポイントです。

自己資本が必要ない融資も紹介しましたが、基本的には自己資金が少しでもあった方が、融資審査や条件面で有利に働きます。親族や友人から借りたお金ではなく、自ら貯めて準備した資金であることが融資を受ける上で大切です。

自己資金が十分にあることで、事業の安定性と本気度を示すことができます。創業準備の初期段階から計画的に自己資金を用意しておきましょう。

ポイント3. バーチャルオフィスを利用していることを明らかにする

金融機関の担当者や融資の面談の場では、バーチャルオフィスを利用していることを堂々と伝えましょう。嘘をついたり、隠そうとするほうがかえって不信感を与えて、審査に不利になってしまいます。

バーチャルオフィスであるかどうかより、実現性があると納得してもらえる事業計画書を作成することが大切です。バーチャルオフィスが事務所であることを伝えて、きちんと計画を立てた事業内容をしっかりと説明しましょう。

ポイント4. 税理士や知り合いに金融機関を紹介してもらう

融資を不安を感じている方は、国家資格を持つ税理士や、すでに融資を受けたことがある人から金融機関を紹介してもらうことをおすすめします。

金融機関としても、融資実績のない事業者に対して慎重になる傾向があるため、信頼できる紹介者からの推薦があれば、信用度が高まるでしょう。

また専門知識をもつ税理士に相談することで、資金調達に加え、お金の管理に関する幅広いサポートを受けることができます。

まとめ

この記事では、バーチャルオフィスを利用する事業者が融資を受けることは可能か、そしてそれにはどんな種類があるのかを詳しく解説しました。

バーチャルオフィスであっても、融資を受けることはできます。事務所形態ではなく、しっかりとした事業計画を立てることが融資を受けるうえで重要なポイントです。

低コストで利用できるバーチャルオフィスを活用することで、事業をスムーズに立ち上げ可能性を広げることができます。

バーチャルオフィスのメリットを最大限に活かし、ビジネスを発展させていきましょう。

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