請求書はPDF形式で送っても良い?|メリットや注意点を解説
「請求書の電子化を進めるにはどうすれば良い?」
「メールで送付した請求書の保存方法がわからない」
「請求書をPDF化した場合も法的に問題ない?」
こうした疑問を抱えている方には、この記事が参考になるでしょう。
近年ではペーパーレス化の動きが盛んになり、書類の電子化も進んでいます。さらに2024年1月には、電子取引のデータ保存が完全義務化されるなど、法的にも大きな変化がありました。
そこで本記事では、PDFで発行した請求書の有効性をはじめ、請求書を電子化するメリットや注意点、さらに電子帳簿保存法に基づく保存方法について解説します。
自分で請求書を作成している方や、経理業務に携わっている方は、ぜひご一読ください。
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PDF化した請求書は法的に有効
従来は紙の請求書が一般的でしたが、近年では請求書のPDF化を行い、電子請求書として発行するケースも増えてきました。そのため請求書の形式は、手書きの請求書、印刷された請求書、そして電子請求書の3種類に分けられます。
請求書の形式は違いますが、いずれも役割は同じです。なかには「請求書をPDF化すると有効性に影響するのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、PDF化された請求書も法的には何ら問題ありません。
また請求書へ記載する項目も共通しています。一般的な請求書とインボイス対応の請求書に分けられるので、それぞれ具体的に見ていきましょう。
一般的な請求書への記載項目7点
請求書の作成時に記載すべき項目は、以下の7点です。
取引先の名称
請求者の氏名や名称
発行日
請求内容:取引日、取引内容、金額を具体的に記載する
請求金額と消費税
支払期日
振込先:預金種別や口座番号を正確に記載する
取引先名を入れる際は敬称の使い分けが重要で、会社名や部署名には「御中」、個人名には「様」を付けます。「御中」と「様」の併用はできません。
また発行日は、取引先の締め日に合わせて記載するのが基本です。請求書の作成日ではないので注意が必要です。支払期日も事前に確認しておきましょう。
あわせて請求書番号を記しておくと、問い合わせや確認の際に便利です。もし特記事項がある場合は、備考欄に記載してください。
適格請求書への追記項目3点
2023年10月にインボイス制度が導入され、区分記載請求書等保存方式が撤廃されるとともに適格請求書等保存方式に移行となりました。フリーランスや個人事業主のなかにも、適格請求書発行事業者として登録した方は多いでしょう。
インボイス制度対応の請求書を発行する場合は、上述の7項目に加えて以下の3項目も記載する必要があります。
請求者の登録番号
税率ごとに区分した合計額(税抜または税込)と適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
また商品によっては、区分記載請求書等保存方式と同様に、軽減税率の対応品目である旨を記載しなければなりません。
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PDFで請求書を送るメリット3つ
紙の請求書と比べると、PDF化した請求書には「押印ができない」「情報が外部に漏れるリスクがある」「インターネット環境がないと利用できない」などのデメリットがあります。
実際にこうしたリスクを懸念して、紙の請求書を利用している企業はまだまだ多いのが現状です。
一方で、請求書をPDF化することで大きく3つのメリットが得られます。
デメリットを上回るメリットを感じられれば、請求書の電子化を検討してみるのも良いでしょう。一つずつ見ていきます。
メリット1)コストを削減できる
請求書に限らずペーパーレス化が進んでいる背景には、コストを削減できるという大きなメリットがあります。たとえば紙の請求書を電子請求書へと切り替えることで、以下のコストが削減できます。
請求書を印刷するための用紙代やインク代
請求書を送るための封筒代や郵送代
請求書を保管するためのファイル代
さらに電子データの場合はパソコン内にファイルの保管ができるため、オフィスに保管スペースを確保する必要もありません。このように電子請求書を利用することで、さまざまなコストを削減できます。
メリット2)業務の効率化につながる
紙の請求書を郵送する場合、取引先のもとへ届くまで数日かかるでしょう。
一方でPDF化した請求書をメールで送付する場合、リアルタイムで取引先へ届きます。そのためスムーズにデータの確認ができるうえ、もし請求書の内容に誤りがあった場合も、素早い修正対応が可能です。
また日付やファイル名などで検索できるようにしておけば、過去の書類を参照する際に役立ちます。請求書の数が多くても必要な書類をすぐに見つけることができるので、効率よく作業が進みますよ。
メリット3)請求書の改ざんがしづらい
WordやExcelで作成した請求書は、簡単に改ざんすることができてしまいます。
たとえ故意ではなくとも、操作を誤って内容を書き換えてしまうと、大きなトラブルにつながります。これでは安心して請求書のデータを扱うことができません。
その点PDFの請求書は、改ざんがしづらいというメリットがあります。よりセキュリティ面を強化したければ、請求書の送付時にパスワードを設定するなどの工夫をすると良いでしょう。
電子請求書は電子帳簿保存法に則って保存する必要がある
電子帳簿保存法とは、税務関係の書類を電子データとして保存するために必要な要件を定めた法律です。2022年に大幅改正され、一部には猶予期間も設けられていましたが、2024年1月から完全施行されました。
電子帳簿保存法では「メールやインターネットを通じてやり取りした電子データは、電子データとして保存する」と規定されています。つまりメール等で送付された請求書については、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存することになっています。
電子保存の要件を満たすには、真実性と可視性の確保が必要です。一つずつ確認しておきましょう。
要件1)真実性の確保
真実性の確保は、電子データの改ざんを防ぐために欠かせない要件です。
真実性を確保するための具体的な対応策としては、たとえば以下が挙げられます。
タイムスタンプを付与する
訂正履歴や削除履歴を残す
改ざん防止に向けた事務処理規定を作成・運用する
またファイルの形式は問われないため、PDFだけでなくスクリーンショットなどでも問題ありません。いずれにしても、改ざんしづらい形式を選ぶと良いでしょう。
要件2)可視性の確保
可視性の確保とは、誰でも必要に応じて適切な情報を参照するための要件です。
可視性を確保するためには、以下3つの対応が求められます。
電子データを保存している場所に操作説明書を備え付ける
自社開発のプログラムを使う場合はシステム概要書を備え付ける
書類の検索機能を確保する
検索機能の確保は、取引年月日や取引金額、取引先の名称などから書類の検索をするために必要です。さらに範囲を指定した検索や、2つ以上の項目を組み合わせた検索にも対応できなければなりません。
検索性を高めるためには、保存時のファイル名を工夫する、Excelなどで索引簿を作成する、検索しやすいシステムを利用するなどの対応が必要となります。
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【解説】請求書をPDFにする方法とポイント
請求書を電子データとして送る際は、PDF化することで電子帳簿保存法の要件を満たしやすくなります。手書きの請求書やExcelで作成した請求書であっても、PDFに変換すれば電子データとして送付できます。
ここでは請求書をPDF化する3つの方法と、そのポイントについて確認しておきましょう。
①紙の請求書をスキャナで取り込む
手書きの請求書、あるいは紙に印刷した請求書をスキャナで取り込めば、PDFの請求書として保存することができます。
以前はスキャナ保存をする前に税務署長の承認を得る必要がありましたが、電子帳簿保存法の改正に伴い、承認が不要となりました。また、原本は廃棄可能です。
電子帳簿保存法で定められているスキャナ保存の要件は、以下のとおりです。
請求書の受領後7営業日以内、あるいは業務処理サイクルの期間終了後7営業日以内にスキャナ保存を行う
解像度200dpi以上の解像度で読み取る
赤・緑・青の各色を256階調以上で読み取る
そのうえで真実性・可視性を確保するために、タイムスタンプや検索機能の付与などを行ってください。
参考:スキャナ保存/国税庁
②ExcelやWordのデータを変換する
ExcelやWordで作った電子データも、PDFに変換することが可能です。
左上の「ファイル」をクリックし、「名前を付けて保存」を選ぶ
保存先を選択し、ファイルの種類を「PDF」にする
「保存」を押せば完了
「エクスポート」を使う手順は以下のとおりです。
左上の「ファイル」をクリックし、「エクスポート」を選ぶ
「PDF/XPSドキュメントの作成」を選ぶ
保存先を選択し、「発行」を押せば完了
Googleスプレッドシートの場合も、同じように変換できます。
1. 左上の「ファイル」をクリックし、「ダウンロード」>「PDF」を選ぶ
2. 保存内容を確認し、「エクスポート」を押せば完了
そう難しい手順ではないので、試してみてください。
③電子帳簿保存システムを使う
電子帳簿保存システムを使えば、効率よくPDFの請求書を作成することができます。また電子帳簿保存法の保存要件に対応しており、タイムスタンプや検索要件の付与などができるほか、書類を自動で読み取るOCR機能が搭載されているものも多いです。
システムによっては請求書だけでなく、契約書や領収書などのさまざまな帳票に対応しているものもあります。コストはかかってしまいますが、経理業務全般をまとめて電子化することができるため、業務効率化につながります。
また電子帳簿スキャナ保存ソフト法的要件認証を受けたシステムにはJIIMA認証が付いているので、選ぶ際の参考にすると良いですね。
請求書を電子化する際の注意点
請求書を電子化すれば、ペーパーレス化を促進できる、送付や受け取りに時間がかからないなど、さまざまなメリットがあります。コスト削減にもつながるので、すぐにでも電子化しようと考える方もいるかもしれません。
その一方、電子請求書を取り入れることで、業務フローが大きく変わる可能性があります。また請求書をメールで送付する場合、情報漏洩のリスクも付きまとうでしょう。そのため電子データの扱いには慎重さが求められます。
ここでは請求書を電子化する際の注意点を3つご紹介します。事前に確認したうえで対応してください。
注意点⒈ 事前に取引先の確認をとっておく
1つめの注意点は、電子請求書の発行前に取引先の合意を得ておくことです。
電子請求書を受け取る側は、電子帳簿保存法の要件に対応しなければなりません。そのためもし取引先が要件に対応できなければ、電子請求書を使った取引は難しいですよね。
あわせて、以下の点についても確認が必要です。
電子印鑑を押す必要があるか
原本の送付は必要か
法律上はどちらも不要ですが、社内の業務フローによっては押印や原本提出を求められるケースもあります。一方的に判断せず、必ず取引先と確認するようにしましょう。
注意点⒉ 検索しやすいファイル名になるよう工夫する
電子請求書の検索性を高めるためにも、ファイル名を工夫する必要があります。
もしファイル名に「請求書」としか書かれていなければ、ファイルを開くまで何の書類か分かりません。それでは必要な書類を見つけるのに時間がかかってしまいます。
検索性の高いファイル名としては、たとえば以下の例が挙げられます。
20XX年4月 原稿料請求書 〇〇(氏名)
【請求書】20XX05 Webデザイン料 △社
6月 コンサルタント料請求書 □□社
継続的に請求書を発行する場合は、毎回同じ形式でファイル名を付けると良いでしょう。
注意点⒊ 請求書をメールで送る際は宛先ミスに気を付ける
PDFの請求書は、メールで送付することが多いです。
ただし請求書には機密情報が多く含まれているので、外部に情報が漏れないよう慎重に扱わなければなりません。だからこそメールで送る際は宛先をよく確認し、ミスが起きないようにしてください。
また私も過去に経験がありますが、ファイルの添付し忘れにも注意が必要です。何度も不要なメールをやり取りしなければならないため、取引先にも負担をかけてしまうでしょう。
電子帳簿保存システムのなかには、請求書をメール添付せずに直接送付できるものもあります。メールでの送付が不安な方は、こうしたシステムを利用するのも良いですね。
請求書をPDF化して請求業務を効率化しよう
本記事では請求書をPDF化するメリットやその方法、注意点や電子帳簿保存法の要件について解説しました。
請求書をPDF化することで多くのメリットが得られる一方、いくつか注意点も存在します。そのため一方的に電子化を進めるのではなく、取引先と相談しながら両者が納得する形で進めていくことが大切です。
また電子帳簿保存法に定められた「真実性の確保」ならびに「可視性の確保」の要件を満たすためには、タイムスタンプや検索要件の付与などの対応が欠かせません。自力で電子帳簿保存法に対応するのが難しい方は、電子帳簿保存システムを使うのもおすすめです。
ぜひ請求書をPDF化して、請求業務の効率化につなげていきましょう。
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請求業務は、報酬に関わる重要な業務の一つです。便利なツールを活用しながら、スムーズに業務を進めましょう。
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