会社を動かす戦略総務とは?役割や必要なスキル、成功事例を紹介

最終更新: August 2nd, 2025
会社を動かす戦略総務とは?役割や必要なスキル、成功事例を紹介

戦略総務は、会社の経営戦略を支えながら、組織の課題を積極的に解決していく新しい総務の形として注目されています。

しかし、具体的に何をすれば戦略総務と言えるのか、どのように従来の総務部門と違うのか、まだイメージがつかみにくい方も多いはずです。

本記事では、戦略総務とは?という点から、役割や具体的な変革ポイントもわかりやすく解説し、実際の成功事例や参考になる書籍を紹介。「戦略総務」という言葉を初めて聞いた方や総務部門で働く方はもちろん、企業の組織づくりに関心がある方もぜひ読んでほしい内容です。

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今注目されている「戦略総務」とは?

Strategic General Affairs

「戦略総務」とは、単なる裏方業務にとどまらず、経営に貢献する“攻め”の姿勢を持った総務のことを指します。

この概念を日本にいち早く導入したのは、2000年代初頭のソニー。当時、総務センター長だった小山義朗氏が、総務のあり方そのものを見直し、企業戦略に資する部門へと進化させたのが始まりです。その後「戦略総務」という言葉は、2018年ごろから『月刊総務』などの専門誌でも広く用いられるようになりました。

推進者の一人であるクレイグ・カックス氏は「総務は企業を変えていくだけのパワーを持っている。企業を変えるためには、まずは総務の一人一人がプロへと変わることが必要である。」と語り、戦略的視点を持つことの重要性を説いています。変化の激しい今の時代にこそ、戦略総務の役割が問われているといえるでしょう。

通常の総務部門と戦略総務との違い

general affairs

従来の一般的な総務部門は、備品管理や施設整備、社内イベントの運営など、いわゆる「縁の下の力持ち」としての役割が中心でした。

これに対して戦略総務は、経営と連携しながら“企業全体の最適化”を目指します。たとえば、働き方改革を能動的にリードしたり、DXやBPOを導入して業務効率を改善したりと、会社全体にインパクトを与える業務が増えているのが特徴です。単なる日常業務の遂行だけでなく、「なぜそれをやるのか」「どうすればもっと効果的か」を考え抜き、改善を繰り返すことが必要とされます。

“総務が自ら課題を発見し、提案し、解決まで主導していく”その積極性こそが、通常の総務と戦略総務の最大の違いといえるでしょう。

戦略総務としての具体的な役割

companys overall strategy and growth

戦略総務としての具体的な役割には、以下のようなものが挙げられます。

企業の環境改善

戦略総務の役割のひとつが、社内環境を整え、継続的に改善していくことです。オフィスのレイアウトや空調、照明といった設備面だけでなく、社員が安心して働けるメンタル面の配慮まで、幅広い範囲をカバーします。

たとえば、フリーアドレス制の導入や、リラックススペースの設置など、働きやすい職場づくりが成果を上げるケースも。こうした環境整備は、従業員のパフォーマンス向上や定着率アップにもつながり、企業全体の成長に直結します。

単なる「設備管理」ではなく、経営の視点から「社員のモチベーションをどう上げるか」という発想を持つことが、戦略総務には求められます。

関連記事:労務管理における3つの課題と対応策|テレワークの問題点も解決

働き方の改革・業務効率化

戦略総務とは、働き方改革を実現する旗振り役でもあります。フレックスタイム制やリモートワーク制度の導入、会議のオンライン化、業務の見直しによる残業時間の削減など、従業員が効率よく働ける仕組みづくりが求められます。

たとえば、これまで紙で処理していた申請書類を電子化することで、処理スピードを上げると同時にミスの削減にもつながります。現場の業務を深く理解したうえで、仕組みやツールを導入・運用し、変化を定着させる力が、戦略総務には必要です。「働きやすさ」と「生産性向上」の両立をどう実現するかが、重要なミッションとなります。

コストの削減

戦略総務とは、コスト削減の推進役でもあります。単に経費を減らすだけではなく、「どのような部分に無駄があるのか」「何をやめれば効果が出るか」といった本質的な分析を行うのが特徴です。

たとえば、複数部署で個別に発注していた備品を一元管理することで、スケールメリットを活かしてコストを下げる。あるいは、BPOを活用して定型業務を外部に委託し、内部リソースをより価値ある業務へ振り分けるといった戦略もあります。

重要なのは、「削る」だけではなく「再投資すべきところを見極める」視点。コスト最適化を通じて企業全体の利益体質を強化していくのが、戦略総務の使命です。

経営層と現場を繋ぐハブになる

戦略総務は、経営陣と現場をつなぐ“ハブ”としての機能も担います。企業の経営陣が描くビジョンや方針を、わかりやすいかたちで現場に落とし込むと同時に、現場の課題やニーズを吸い上げ、経営にフィードバックする役割です。

そのためには、部門を横断して信頼関係を築き、コミュニケーションを密にとる必要があります。たとえば、部署ごとの意見をまとめたうえで全社的な改善案を策定し、経営会議に提案するなど、調整力と交渉力が求められます。

総務部は企業全体を俯瞰できる数少ないポジション。だからこそ、組織内の“交通整理役”として、企業全体の動きをスムーズにする重要な存在となるのです。

福利厚生の改善

戦略総務は、従業員満足度の向上を目指して福利厚生の改善にも取り組みます。たとえば、リモートワーク支援制度、企業内のカフェの設置、育児・介護と仕事の両立支援など、時代のニーズに合った制度づくりが求められます。

また、単に制度を導入するだけでなく、実際に“使われる”仕組みにすることが重要です。従業員アンケートを活用し、利用率や満足度を定期的に分析しながら改善を進めることで、「形だけ」の制度ではない、実効性のある取り組みに育てていきます。

福利厚生は、社員のモチベーションを高め、優秀な人材の確保・定着にも直結するため、経営戦略の一環として考える必要があります。

戦略総務を実現するためのポイント

Unlocking Corporate Potential

本項目では、戦略総務を実現するためのポイントを紹介しています。

企業内の仕組みや業務の効率を積極的に見直す姿勢を持つ

戦略総務の第一歩は、今の業務のやり方を当たり前と思わず、常に「これでいいのか?」と問い直す姿勢です。たとえば、紙ベースで行っている手続きが多ければ、電子化によって業務効率化を目指せる可能性があります。

また、業務が特定の人にしかできない状態(属人化)がある場合は、マニュアル整備や業務分担の見直しも必要です。これにより業務の属人化を防ぎ、引継ぎや教育もスムーズになります。小さな改善の積み重ねが、大きな戦略につながるのです。

社内・社外とのコミュニケーションに努める

戦略総務には、部門の枠を超えて社内外の多様な関係者と連携する力が必要とされます。現場の声を直接聞き取り、経営層との意見交換も怠らないようにすることで、会社全体の動きと総務部の施策がズレなく連動するようになります。

たとえば、新しい制度を導入する際も、現場の課題を把握していれば実効性の高い提案が可能です。また、外部ベンダーや行政との折衝も重要な役割の一つ。情報を集約し、全社最適の判断材料を提供するのが戦略総務の価値となります。

アウトソーシングなどツールも活用する

すべての業務を担当者が自前でこなそうとすると、リソースも時間も限界があるかもしれません。

そこで有効なのが、外部リソースの活用です。たとえば、煩雑な庶務業務や労務手続きをBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に委託すれば、総務はより戦略的な業務に専念できます。また、クラウドツールや業務支援システムの導入も、作業の自動化や可視化につながります。

ポイントは、「コスト削減」だけを目的にしないこと。外注先との連携やツールの選定においては、業務の質を高める視点も重視していきましょう。

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より働きやすい環境づくりを目指す

戦略総務が果たすべき大きな役割の一つが、従業員が安心して働ける環境づくりです。たとえば、フリーアドレス制の導入や空間デザインの見直し、リモートワーク対応のITインフラ整備などは、従業員満足度の向上だけでなく、企業の魅力向上にもつながります。

また、心身の健康に配慮した制度やサポート体制の整備も重要です。こうした取り組みを通じて、会社全体の生産性やエンゲージメントを底上げしていくのが、戦略総務の本領発揮といえるでしょう。

戦略総務の事例を紹介

From Back Office to Strategic Partner

ある自動車メーカーでは、業務の属人化やマニュアル整備の遅れが原因で、生産性の低下が課題となっていました。外部環境の急激な変化に対応すべく、「戦略総務」への転換が急務と判断され、総務部の業務を見直すBPO導入を決断。

その結果、わずか1ヵ月で26業務の引継ぎと改善、新たな総務カウンター「サポートオフィス」の立ち上げを実現しました。業務ごとにマニュアル化を進め、ペーパーレス化などの改善策も導入。専門チームの力も活用し、短期間ながら効率的な体制構築に成功しました。

委託先との綿密な連携により、属人化からの脱却と、能動的に会社を支える戦略総務体制への第一歩を踏み出した好例といえます。

参照元:パーソルビジネスプロセスデザイン「属人化を解消し、『戦略総務』を目指すべく1ヵ月で立ち上げた、新たな総務カウンター」

戦略総務の考え方を学べる本

ここでは、戦略総務の理解を深めるうえでおすすめの2冊をご紹介します。

経営を強くする戦略総務

blue book

本書の著者は、総務専門誌『月刊総務』の前編集長であり、株式会社月刊総務の代表でもある豊田健一氏。現場と経営の橋渡し役としての総務の価値を、数々の実例とともに解説しています。

「雑用係」と見なされがちな総務が、実は会社を動かす“起点”になり得る存在だということを、読者に気づかせてくれる一冊です。予測が難しい時代の中で、総務が経営にどう貢献できるか、どんな力をつけるべきかが、10の問いを通して整理されています。

また、総務に求められる「7つの力」や、実践事例(スクウェア・エニックスや日産など)も収録。理論だけでなく、すぐに役立つ実務アイデアが詰まった内容になっています。総務担当者はもちろん、経営層にもおすすめです。

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック

red book

こちらも豊田氏による書籍で、コロナ以降の新しい働き方に対応する戦略総務の実践方法を解説しています。テレワーク・DX・健康経営など、現代企業が抱える課題に対して、総務部門がどう仕掛けていけばいいのかが丁寧にまとめられています。

「ピンチをチャンスに変えるDX」や「働く場の環境整備」「リモート時代の社内コミュニケーション戦略」など、現代に即したテーマが満載。変化に柔軟に対応する“攻めの総務”を目指す方にとって、まさに実践的な教科書といえるでしょう。

【FAQ】戦略総務に関するよくある質問

faq

戦略総務についてのよくある質問をQ&A形式でまとめました。初心者の方も安心して理解を深められるよう、丁寧に解説しています。

戦略総務に必要な10か条とは何ですか?

戦略総務に必要な10か条とは、『月刊総務』前編集長・豊田健一氏が掲げる行動指針です。

ダイヤモンドオンラインにて、豊田氏が各か条について執筆した記事が掲載されており、そこで10か条を確認することができます。

以下がその10か条です。

【1】現場に精通

【2】小さな工夫を即アクション

【3】現場との良好な人間関係、信頼関係の構築

【4】コミュニケーションの「ハブ」になる

【5】「ゼロベース思考、引き算思考」を持つ

【6】社会の動向に敏感になる

【7】「モノ」より「コト」で発想する

【8】専門性を高める

【9】外部にブレーンを持つ

【10】経営に対して当事者意識を持つ

総務部が組織の中で信頼を得て、戦略的な役割を果たすには、こうした視点や行動が欠かせません。

業務の効率化だけでなく、企業全体に影響を与える存在として、日々の取り組みに反映していくことが求められています。

攻めの総務とは何ですか?

「攻めの総務」とは、いわゆる“戦略総務”の別表現です。

雑務をこなすのではなく、会社の課題に先回りして働きかける、能動的で影響力のある総務を意味します。たとえば、業務効率化や社内の働き方改革・制度設計などに積極的に関わる姿勢が「攻めの総務」の特徴です。

総務部門の人材に向いている人は?

総務部の人材として向いている人の特徴には、以下のようなものがあります。

  • 人との調整や気配りができる人

  • 裏方でも成果を喜べる人

  • 幅広い業務に柔軟に対応できる人

  • 課題を見つけて改善するのが得意な人

戦略総務を目指すなら、これらに加えて「経営視点」や「情報収集力」、「社内外の橋渡し力」も重要です。全社視点で物事を考える“ジェネラリスト志向”の人には特に向いているでしょう。

戦略総務まとめ

Captures Essence of Proactive Business Role

これまで見てきたように、戦略総務とは単なるバックオフィス部門ではなく、企業の成長を支える“経営のパートナー”とも言える存在です。属人化や非効率な業務の見直し、社内外との連携強化、働きやすい職場環境の整備など、役割は非常に多岐にわたります。

そして、それらを実現するためには、現場に精通しながらも経営の視点を持ち、時には外部リソースを活用する柔軟さも求められます。従来の枠を超えて行動することで、企業を変える戦略総務として輝いていきましょう。

ペーパーレス化などの業務効率化を目指すならMailMate

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戦略総務の実現には、日々の業務効率を高める仕組みづくりも欠かせません。特に、総務部門で多い紙の書類管理や手作業での対応を改善するには、クラウド型の業務支援ツールの導入が効果的です。

たとえば「MailMate」は、郵送物や書類対応をクラウド上で一元管理できるツールです。社内の誰が、どの文書を、いつ確認したかなどが記録として残り、属人化の解消やペーパーレス化に貢献します。さらに、テレワーク中でも対応できるため、リモートワーク時代にもフィットするサービスです。

こうしたツールをうまく活用することで、戦略総務としての業務基盤が強化され、より本質的な課題解決に時間とリソースを充てられるようになります。

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